自賠責保険(
自動車損害賠償責任保険)は、ユーザーが
保険会社に
保険料を
支払い、
事故を
起こした
場合、
被害者に
保険金が
支払われます。
すべての事故の被害者が泣き寝入りすることなく保険金を得られるよう法律でユーザーに契約が義務づけられている、昭和30年から始まった歴史の古い制度です。
ただ、被害者に介護が必要な重い障害が残った場合、保険金だけでは生活が立ち行かないとして、国土交通省は介護料の支給や専門病院の整備などの支援を中心とした事業を行っています。
事業にかかる費用は毎年およそ150億円で、国の特別会計の積立金が主要な財源になっていますが、この積立金の残高は来年度末に1441億円となる見込みで、国は令和20年度に枯渇すると試算しています。
積立金が枯渇すれば、支援事業の継続が困難になるうえ、現在の事業規模では行き届いていない支援もあるなどとして、国土交通省は自賠責保険の保険料からその費用を工面することを決めました。
具体的には、自賠責保険のうち「賦課金」と呼ばれる、保険料の一部として徴収されている部分を支援事業に充てる方針で、再来年度以降の賦課金の増額も検討しています。
自賠責保険料はすべてのユーザーに支払いが義務づけられているだけに、増額については国の検討会で慎重な議論が続けられていて、国土交通省は「ユーザーの負担にも配慮したうえで、事業を安定的に実施できる仕組みへの転換を図りたい」と話しています。
専門病院を整備も病床数など課題
国土交通省は、
交通事故に
遭い
自力で
動いたり
食事をしたりすることができなくなった「
遷延性意識障害」の
被害者を
治療する
専門病院を
全国で4
か所整備しています。
このうち最も早い昭和59年に開設された千葉市の千葉療護センターには現在、10代から80代のおよそ70人が入院しています。
入院患者は事故の後遺障害で意思の疎通が難しく、体調の変化を訴えることができないため、施設では看護スタッフの人数を一般の病院の急性期病棟と同等にして、わずかな変化も確認できる体制を取っています。
また全身のCT画像を撮影する頻度を増やし、脳機能の回復度合いや、がんなどの病気がないかをこまめに確認するなど患者それぞれに合った治療やリハビリを実施しています。
こうした医療サービスを提供するためには通常の診療報酬では経営が成り立たないため、民間の病院だけに任せることが難しいということです。
また、この施設は開設から40年近くがたち老朽化が進んでいるうえ、リハビリ室の広さが現在の医療ニーズに合っていないほか、常に入院待ちの被害者がいる状態だということです。
国は全国の民間病院7か所を委託病床として4か所の専門病院に準じた治療を受けられるようにしていますが、病床数の地域的な偏りも課題だとしています。
千葉療護センターの
小林繁樹センター
長は「
被害者のニーズに
応えて
いくには、
建て替えも
含めて
大きく
構造改革をしていかなければならない。
どうしても経済的なバックアップが
必要に
なるが、
私たちが
受けている
車社会の
恩恵の
影で
被害を
受けた
方たち
に対して、
皆で
支援する
仕組みは
必要だと
思う」と
話していました。
重い障害が残った被害者 介護を担う親は
交通事故で
介護が
必要な
重い
障害が
残った
被害者や
介護を
担う
親からは、リハビリ
施設の
不足や「
介護者なき
後」を
不安視する
声が
聞かれます。
広島県廿日市市の徳政宏一さん(54)は18年前、高速道路の事故で脊髄を損傷し、胸から下を動かせなくなったほか手にしびれが残り、車いすでの生活を送っています。
病院を退院したあと自宅でリハビリを続け、今では時間をかければベッドから車いすへ移ることも1人でできるようになりましたが、専門の病院や施設が少なく十分な治療を受けられないため、自宅中心のリハビリに頼らざるをえないといいます。
国土交通省の専門病院も脳外科に特化していて、徳政さんは「脊髄損傷は障害の程度が軽いと思われがちだが、何年もリハビリを行って自立生活に戻ることができる。環境面は整っておらず、今後、国には自立生活への推進に力を尽くしてほしい」と話していました。
また大阪府交野市に
住む桑山雄次さん(65)は、
次男の
敦至さん(34)が
小学2
年生の
時に
道路を
横断中、
車にはねられ、
自力で
動くことができない
遷延性意識障害になりました。
敦至さんが訪問介護やデイサービスを利用している時間を除き、1日の大半の時間は妻の晶子さん(61)と2人でたんの吸引やストレッチなどを担っていて、在宅での介護はことしで26年目になりました。
年齢を重ねる中、将来、介護が担えなくなった時のことを考え始めていますが、敦至さんのように医療的なケアが必要な人を受け入れることができるグループホームなどの施設は数も環境面も十分でなく、「介護者なき後」をどう支えていくのか、大きな課題になっています。
桑山さんは「車社会の影で被害者がいるという現実が、なかなか知られていない。重度の障害を負った人が安心してその人らしく生きていけるような環境が整うといいなと思う」と話していました。
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