事件現場は、ことし3月末に、奈良市が進めていた道路整備が終わり、近くには人工芝の広場や花壇が設けられています。
事件から1年となる前日の7日、花壇に花束を供えたり、足を止めて手を合わせたりする人の姿が見られました。
団体は、不審物への対策などとして、花以外のものは供えないよう協力を呼びかけています。 捜査関係者によりますと、山上被告は捜査段階の調べに対し、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたなどと供述していました。 事件は裁判員裁判で審理される予定ですが、争点を絞り込む公判前整理手続きがいつ始まるかは未定で、弁護団によりますと、初公判は来年以降になる見通しだということです。
奈良市は事件の前から、現場となった駅前について道路や広場を整備しようと作業を進めていました。 しかし、銃撃事件を受けて、市には慰霊碑といった事件があったことを示すものを設置するよう求める声が寄せられるようになりました。 このため、市はこの場所を、 ▽緑地帯にする案、 ▽「歩道」にして近くに慰霊碑などを設ける案、 ▽従来の計画どおり「車道」にして慰霊碑などを設けない案の3つの案を示し、有識者や住民などから意見を聞きました。
山上被告は母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたとみられています。 捜査関係者によりますと、被告は捜査段階の調べに対し「母親が旧統一教会にのめり込み多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」といった趣旨の話をしたということです。 元総理をねらった理由については「政治信条への恨みではなく、安倍元総理が教団と近しい関係にあると思った。これまで教団の総裁をねらっていたがうまくいかず、新型コロナの影響で来日しないため、安倍元総理を標的にすることを決めた」などと供述していたということです。 奈良地方検察庁は、供述と事件との間に飛躍があるため、去年7月からことし1月までの半年近くにわたって「鑑定留置」をして精神鑑定を行い、その結果を踏まえて刑事責任能力があると判断しました。 捜査関係者によりますと、この鑑定の際、被告は「旧統一教会などについてもっと話を聞いてほしい」という趣旨の発言をし、旧統一教会や家族との関係などについて話し足りない様子だったということです。 一方、被告の弁護団は、経緯や動機などについては、裁判に影響が出るとして明らかにしていません。 弁護団によりますと被告は現在、大阪拘置所で勾留されていて、親族や弁護士以外との接見は拒否しています。 ことし4月からは弁護団を通じて報道陣の質問に一部答え、旧統一教会の問題を受けて整備された被害者救済の法律については「意見を持つほど分かっていないが、被害者が救済されることを願っている」と話したということです。 6月12日には、裁判に向けて争点を絞り込む1回目の公判前整理手続きが、奈良地方裁判所に不審物のおそれのある段ボール箱が届いたため、中止となりました。 弁護団によりますと、被告は「爆発物でなくてよかった」、「自分が出席することでこのような騒ぎが起きた。手続きに出席するかどうかはよく考えたい」という趣旨の話をしたということです。
被告の供述や親族の話などから被告が奈良県内の進学校に通う高校生だったころ、母親は教会への信仰を深めていったとみられています。 母親は、長年にわたり、死亡した父親の生命保険金や、家族が所有していた不動産を売って得た金などあわせて1億円近くを旧統一教会に献金していたとみられています。
「すべての原因は25年前と言わせてもらう。なぁ統一教会」 「オレが憎むのは統一教会だけだ」などと投稿されていました。 被告は、銃撃事件の前日に、奈良市内の旧統一教会の関連施設が入る建物を銃撃して傷つけた罪でも起訴されています。
声明ではこのほか、 ▽被害者救済新法の執行の強化や見直し、 ▽速やかな解散命令請求の申し立て、 ▽いわゆる宗教2世への宗教虐待などに対処するための法整備などを求めていて、旧統一教会や主要政党、関係省庁などに対して送るということです。
その上で、選挙活動を安全に行えるように候補者らの陣営と警察が適切に連携して対応していく必要があるという認識を示しました。
銃撃事件当時から様変わりした現場
山上被告の供述と発言
山上被告と旧統一教会
弁護士グループ「多くの問題は解決されず残されたまま」
奈良県警 安枝亮本部長コメント
松野官房長官「選挙での暴力行為は断じて許されない」