気象庁は10日午後5時半ごろ、福岡県の朝倉市と久留米市、うきは市、八女市、添田町、東峰村、大分県の日田市、中津市に出していた大雨の特別警報を警報に切り替えました。
24時間に降った雨の量は福岡県の英彦山で午前9時50分までに423ミリ、久留米市の耳納山で午前9時半までに402.5ミリといずれも気象庁が統計を取り始めてから最も多くなりました。
6日の降り始めからの雨量は福岡県の英彦山で600ミリを超えるなど記録的な大雨となっていて、各地で地盤が緩むなど災害のリスクが高くなっています。 福岡県と佐賀県、大分県では、土砂災害の危険性が非常に高くなっているとして「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。 福岡県や佐賀県、大分県を流れる▽「筑後川上中流部」に(ちくごがわ・じょうちゅうりゅうぶ)出されていた氾濫警戒情報は午後6時10分に解除されました。 これまでに氾濫が相次ぎ、大分県を流れる山国川上流部と(やまくにがわ)花月川、(かげつがわ)佐賀県を流れる徳須恵川、(とくすえがわ)福岡県を流れる小石原川、(こいしわらがわ)福岡県を流れる巨瀬川、(こせがわ)佐賀県などを流れる城原川では(じょうばるがわ)氾濫発生情報が出ました。 また、福岡県と佐賀県ではほかにも氾濫危険水位を超えている川があります。
この中で国土交通省の豊口佳之河川環境課長は、「筑後川などでは高い水位が継続していて大雨警報に切り替わったからといって災害の危険がなくなったわけではない。広域的、集中的に長時間降るような状況は見込まれないかもしれないが、局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる可能性がある。当面は川に近づくことなどを避け避難情報に従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。 また、「これまでの雨で流域は湿潤状態にあるほかダムは、多くの水がたまっているため余力があまり無い。今後、大雨が発生すると河川の氾濫の危険性が高まる。今後の大雨の状況には注意してほしい」と話しています。
前線は11日にかけてほとんど位置を変えずに停滞する見込みで、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降り、局地的には非常に激しい雨が降るおそれがあります。 気象庁と国土交通省は福岡県や大分県を流れる川の水位は下がる傾向にあるもののこれまで降った流域の雨量は多くダムにためた水を長期間かけて放流する影響で水位の高い状態が続く場合があるとして、局地的な大雨によって災害の危険性が高まるとして今後の大雨の状況には注意するよう呼びかけています。 10日は川や山沿いの渓流斜面などからは離れ、引き続き、安全を確保するようにしてください。また、東北の日本海側でも13日ごろにかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。 線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。 「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
例えば、 ▽斜面から小石が落ちてくる、 ▽斜面に亀裂ができる、 ▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、 ▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。 土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。 九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。 山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。 増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けて下さい。
国交省会見「局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる」
11日にかけ前線停滞 西・東日本の日本海側中心に大雨のおそれ
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
土の中の“タンク”には大量の水が
前兆現象が起きることも
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
ただ、各地で記録的な大雨となり、すでに川の氾濫や土石流などの土砂災害が相次いでいます。川や斜面などからは離れ、引き続き安全を確保するようにしてください。