ドイツ メルツ氏しを首相しゅしょうに選出せんしゅつ 異例いれいの2回かい目めの投票とうひょうで

しかし、首相しゅしょう選出せんしゅつにあたり議会ぎかいの1回かい目めの投票とうひょうでは選えらばれない異例いれいの事態じたいとなり、出でばなをくじかれ、大おおきな打撃だげきを受うけたとの見方みかたも出でています。

ドイツの連邦れんぽう議会ぎかいでは6日にち、中道ちゅうどう右派うはの「キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめい」のメルツ氏しを新あらたな首相しゅしょうに選出せんしゅつする投票とうひょうが行おこなわれました。

「キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめい」は連立れんりつを組くむ中道ちゅうどう左派さはの「社会しゃかい民主党みんしゅとう」と過半数かはんすうの議席ぎせきを確保かくほしていますが、1回かい目めの投票とうひょうでは賛成さんせいが過か半数はんすうにわずかに足たらず、選えらばれませんでした。

ドイツでは歴代れきだいの首相しゅしょうが1回かい目めの投票とうひょうで選出せんしゅつされなかったことはなく、異例いれいの事態じたいとなりました。

投票とうひょうは無む記名きめいで行おこなわれましたがドイツのメディアはメルツ氏しがことし1月つき、移民いみん政策せいさくの厳格げんかく化かのため極右きょくう団体だんたい「ドイツのための選択肢せんたくし」と議会ぎかいで協力きょうりょくしたことに反発はんぱつした与党よとう議員ぎいんが造反ぞうはんした可能かのう性せいがあるという見方みかたを伝つたえています。

このあと各党かくとうは対応たいおうを協議きょうぎして再ふたたび投票とうひょうを行おこなった結果けっか、メルツ氏しは首相しゅしょうに選えらばれました。

メルツ氏しはその後そのご、議会ぎかいで宣誓せんせいして就任しゅうにんし、新しん政権せいけんを発足ほっそくさせました。

そして、記者きしゃ団だんに「新しん政権せいけんはこの国くにの問題もんだいを解決かいけつできると確信かくしんしている」と決意けついを述のべました。

メルツ氏しはこれまで就任しゅうにん初日しょにちから活動かつどうを始はじめるとして、7日にちには隣国りんごくフランスなどの訪問ほうもんも予定よていし、政治せいじ空白くうはくが続つづいてきたドイツの変化へんかをアピールしたい考かんがえを示しめしていました。

ドイツのメディアはメルツ氏しが出でばなをくじかれ、大おおきな打撃だげきを受うけたとの見方みかたも伝つたえていて政権せいけん運営うんえいへの影響えいきょうが予想よそうされます。

ドイツの新あらたな首相しゅしょうに就任しゅうにんしたフリードリヒ・メルツ氏しは69歳さい。

ことし2月つきの連邦れんぽう議会ぎかい選挙せんきょで、中道ちゅうどう右派うはの「キリスト教きょう民主みんしゅ・社会しゃかい同盟どうめい」の首相しゅしょう候補こうほとなり、低迷ていめいする経済けいざいの立て直たてなおしや移民いみん政策せいさくの厳格げんかく化かを訴うったえ、党とうの4年ねんぶりの政権せいけん復帰ふっきを実現じつげんしました。

ショルツ前ぜん首相しゅしょうが率ひきいる連立れんりつ政権せいけんが内部ないぶの対立たいりつを繰り返くりかえし政治せいじが停滞ていたいしたことを踏ふまえ、政治せいじを安定あんていさせヨーロッパの大国たいこくとして役割やくわりを果はたすと強調きょうちょうしています。

メルツ氏しはかつてメルケル元もと首相しゅしょうとの党内とうないの権力けんりょく争あらそいに敗やぶれ、2009年ねんには政界せいかいからいったん退しりぞきました。

その後そのご、弁護士べんごしとして国際こくさい的てきな法律ほうりつ事務所じむしょに籍せきを置おいて大だい企業きぎょうに助言じょげんを行おこなうなど、国内こくない外がいでビジネスの経験けいけんを積つんだあと、2021年ねんに議員ぎいんに復帰ふっきしました。

また、政治せいじ家かとしてはメルケル氏しやショルツ氏しとは異ことなり前面ぜんめんに出でるのを好このみ、リスクを冒おかすことをいとわず政策せいさくを進すすめるタイプだと評価ひょうかされています。

その1つの例れいとされているのが、メルツ氏しが選挙せんきょ後ごのことし3月つき、議会ぎかいで実現じつげんさせた改革かいかくです。

メルツ氏しは、アメリカのトランプ政権せいけんによるヨーロッパの防衛ぼうえいへの関与かんよが不透明ふとうめいになる中なか、ロシアの脅威きょういなどに対抗たいこうするためには、国防こくぼう費ひの大幅おおはばな増額ぞうがくが不可欠ふかけつだと訴うったえ、各党かくとうに協力きょうりょくを呼よびかけて憲法けんぽうにあたる「基本きほん法ほう」を改正かいせいしました。

これによって、国防こくぼう費ひの大幅おおはばな引き上ひきあげが可能かのうになりましたが、メルツ氏しは選挙せんきょ戦せんで財政ざいせい規律きりつを堅持けんじする姿勢しせいを示しめし、法ほう改正かいせいはしないと主張しゅちょうしていたため、批判ひはんも浴あびています。

また、ことし1月つきには、当時とうじの政府せいふに対にたいして移民いみん政策せいさくの厳格げんかく化かを求もとめる決議けつぎ案あんを極右きょくう団体だんたい、「ドイツのための選択肢せんたくし」と協力きょうりょくして可決かけつさせ、ナチスの過去かこから、主要しゅよう政党せいとうが極右きょくう勢力せいりょくとは協力きょうりょくしないというタブーを破やぶったとして、大だい規模きぼな抗議こうぎ集会しゅうかいが起おきるなど反発はんぱつが広ひろがりました。

メルツ氏しについてドイツ政治せいじに詳くわしいフライブルク大学だいがくのウーベ・ワークシャール教授きょうじゅは「自信じしんや確信かくしんに満みち、常つねに首相しゅしょうになりたいと考かんがえてきた。

一方いっぽうで「政策せいさくを国民こくみんに説明せつめいするよりよい方法ほうほうを見みつけるべきかもしれない」とも話はなし、国民こくみんへの説明せつめいを尽つくすことが首相しゅしょうとして成功せいこうするカギになるという見方みかたも示しめしています。

メルツ氏し側近そっきん 安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを転換てんかん 徴兵ちょうへい制せい再開さいかい検討けんとうも示唆しさ

ドイツの新あらたな首相しゅしょうに就任しゅうにんしたメルツ氏しの側近そっきんがNHKのインタビューに応おうじ「アメリカがドイツとヨーロッパの安全あんぜんを保証ほしょうし続つづけることを前提ぜんていにはできない」と述のべ、これまでの安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを転換てんかんして軍備ぐんびの強化きょうかを進すすめ、徴兵ちょうへい制せいの再開さいかいを検討けんとうする可能かのう性せいも示唆しさしました。

NHKのインタビューに応おうじたのはメルツ氏しの側近そっきんの1人にんで新しん政権せいけんの閣僚かくりょう、首相しゅしょう府ふ長官ちょうかんを務つとめることになるトルステン・フライ氏しです。

まず、メルツ氏しについて「政治せいじだけでなくビジネスの世界せかいでも豊富ほうふな経験けいけんを積つんでいる。

また、新しん政権せいけんが国防こくぼう力りょくの大幅おおはばな強化きょうかを掲かかげていることを巡めぐっては「アメリカがドイツとヨーロッパの安全あんぜんを保証ほしょうし続つづけることを前提ぜんていにはできない」と述のべ、これまでの安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくの転換てんかんが必要ひつようだとして、アメリカ抜ぬきでもロシアの脅威きょういに対抗たいこうできるよう軍備ぐんびの強化きょうかを進すすめる方針ほうしんを示しめしました。

そして、トランプ政権せいけんから支出ししゅつが少すくないと批判ひはんされてきた国防こくぼう費ひを大幅おおはばに引き上ひきあげ、東西とうざい冷戦れいせん当時とうじの西ドイツにしどいつが支出ししゅつしていたGDP＝国内こくない総そう生産せいさんの3％以上いじょうも視野しやに入いれているとして「ヨーロッパは戦時せんじ下かにある。

ヨーロッパ各国かっこくがアメリカ抜ぬきでロシアの脅威きょういに対抗たいこうするにはあわせて30万まん人にんの兵士へいしが足たりないとの分析ぶんせきもあるなか、フライ氏しは「志願しがんを基本きほんとした勧誘かんゆうの取り組とりくみを始はじめるが、うまくいかなければ、ほかの選択肢せんたくしを議論ぎろんしなければならない」と述のべ、徴兵ちょうへい制せいの再開さいかいを検討けんとうする可能かのう性せいも示唆しさしました。

一方いっぽう、国内こくない経済けいざいの立て直たてなおしについては「企業きぎょうの競争きょうそう力りょくを取り戻とりもどすため、電気でんきやエネルギー料金りょうきんを恒常こうじょう的てきに下さげる必要ひつようがある。

さらに、支持しじの拡大かくだいが続つづく極右きょくう団体だんたいの「ドイツのための選択肢せんたくし」について「国内こくないのさまざまな問題もんだいを解決かいけつできなければ、『ドイツのための選択肢せんたくし』は躍進やくしんし続つづけるだろう。