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JLPT N2 – Reading Exercise 83

JLPT N2 – Reading Exercise 83

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JLPT N2 – Reading Exercise 83
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JLPT N2

#216

JLPT N2 – Reading Exercise 83

子こどもを持もったことのある人ひとなら、五歳ごさいの娘むすめが「手紙てがみ」というものに強つよい興味きょうみを持もつ時期じきがあることをご存ぞんじだと思おもう。自分じぶんの書かいた文字もじが誰だれかに届とどき、返事へんじが来くるという仕組しくみが不思議ふしぎでたまらない時期じきである。文字もじを覚おぼえ始はじめたばかりの娘むすめにとって、家いえの玄関げんかんにある郵便受ゆうびんうけは、外そとの世界せかいとつながる魔法まほうの箱はことなっていった。

初はじめのうちは、遠とおくに住すむ祖父母そふぼへの誕生日たんじょうびカードをいっしょに出だして喜よろこんでいるだけであったが、そのうち自分じぶんから誰だれかに(1)手紙てがみを書かきたがるようになった。

次つぎに彼女かのじょは、宛先あてさきのない手紙てがみを出だすことに興味きょうみを覚おぼえたようである。一年前いちねんまえ、彼女かのじょが一番いちばん懐なついていた隣となりの家いえの「おじいちゃん」が亡なくなったとき、私わたしは彼女かのじょに「おじいちゃんは空そらの上うえの遠とおい町まちに引ひっ越こしたんだよ」と教おしえた。彼女かのじょはそれを信しんじ、空そらの上うえの町まちへ手紙てがみを届とどけたいと言いい出だしたのだ。私わたしは、使つかわなくなった古ふるい小ちいさな箱はこを「空そらへのポスト」として庭にわの隅すみに置おいてあげて、そこに(2)手紙てがみを入いれさせておいた。

彼女かのじょはほとんど毎日まいにち、その箱はこに(3)何なにかを投函とうかんした。

「おじいちゃん、げんきですか」「きょうね、さかあがりができるようになったよ」とか、「こんどね、あかいはなを植うえるの。お空そらからも見みえるかな」などなど。たわいもない内容ないようばかりだが、娘むすめが一生懸命いっしょうけんめいに鉛筆えんぴつを動うごかしている姿すがたを見みて、私わたしは(4)微笑ほほえましく思おもっていた。

「おじいちゃん、おてがみ読よんでくれたかな」「お空そらの上うえは寒さむくないかな」

ある日ひ、庭にわの手入ていれをしていたとき、ポストの箱はこの中なかに一通いっつうの封筒ふうとうが入はいっているのに気きづいた。

「いつもお嬢じょうさんから温あたたかいお手紙てがみをいただいております。勝手かってに箱はこを開あけて読よんでしまったこと、まずはお詫わび申もうし上あげます。(5)私わたしは、そのお隣となりに住すむ者ものです。実じつは、一昨年いっさくねんに家内かないを亡なくしまして、独ひとりでこの広ひろい家いえに住すむのが耐たえられないほど寂さびしく、生いきる希望きぼうを失うしなっておりました。

そんな時とき、庭にわの隙間すきまから見みえるこの箱はこに、小ちいさなお手紙てがみが入いれられているのを見みつけました。亡なくなった家内かないも子こどもが大好だいすきで、もし二人ふたりに孫まごがいたら、ちょうどお嬢じょうさんくらいの年齢ねんれいだったはずです。お手紙てがみを読よむたびに、まるで天国てんごくの家内かないが私わたしに語かたりかけてくれているような、あるいは(6)孫まごができたような不思議ふしぎな気持きもちになり、明日あしたもまた頑張がんばろうと思おもえるようになりました。

もしお許ゆるしいただけるなら、これからもお嬢じょうさんの「お空そらへのお便たより」を読よませていただけないでしょうか。あの子この純粋じゅんすいな言葉ことばに、私わたしは(7)救すくわれているのです」

こんな手紙てがみを読よんでしまったら、断ことわることなどできないだろう。娘むすめは「おじいちゃんにお手紙てがみが届とどいたんだ!」と目めを輝かがやかせている。私わたしは、その手紙てがみの主ぬしが、以前いぜんの隣人りんじんではなく、新あたらしく引ひっ越こしてきた寂さびしそうなお年寄としよりだったことを知しった。そして娘むすめはいまでも、庭にわの隅すみのポストに「空そらへの手紙てがみ」を入いれ続つづけている。

(創作そうさく:『心こころの架かけ橋はし』による)

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