ウクライナ出身の起業家レオニード・ラドヴィンスキー氏は、10代の頃よりスパムや成人向けウェブサイトを通じて収益を上げる事業に従事し、後に成人向けSNS「OnlyFans」を世界的規模の企業へと成長させ、莫大な財を築いた。そのラドヴィンスキー氏が、長年にわたる癌との闘病の末、43歳で逝去したことがOnlyFansの広報担当者により2024年3月23日に公表された。
2018年、ラドヴィンスキー氏はクリエイターが独占的なコンテンツを提供し、ユーザーがその対価を支払うサブスクリプション型サービスであるOnlyFansを買収した。
彼の経営手腕によって、同プラットフォームは一日あたり3億円以上の収入を生み出す巨大なポルノビジネスへと変貌を遂げた。2024年にフォーブスが発表した調査によれば、ラドヴィンスキー氏はOnlyFans事業から1日190万ドル(約3億円)の収益を得ていたという。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を契機に、OnlyFansの人気は急速に拡大し、同氏の資産額も飛躍的に増加した。フォーブスは2021年に彼をビリオネアとして紹介し、死去時点では推定資産額が47億ドル(約7426億円)に達していた。
しかし、OnlyFansはラドヴィンスキー氏にとって最初のポルノ関連事業ではなかった。彼は10代の頃から、未成年や獣姦を謳うウェブサイトを運営するなど、法的に不透明なビジネスモデルで収益を上げていた。フォーブスの調査によれば、これらのサイトが実際に違法コンテンツへリンクしていた証拠は見つからなかったものの、クリック数に応じて収入を得ていたという。
ラドヴィンスキー氏は17歳で「Cybertania Inc」を設立し、パスワードを提供すると称する複数のポルノサイトを運営した。2002年には、同社のサービスが年間180万ドル(約2億8500万円)を生み出していたと主張している。その後、ノースウェスタン大学を卒業し、成人向けライブチャット「MyFreeCams」を創設、2010年までに500万人以上のユーザーを獲得した。同サイトの財務状況は公表されていないものの、彼はこの事業からも多額の利益を得ていたとされる。
彼の事業はしばしば法的な問題を引き起こし、アマゾンやマイクロソフトなど大手企業がスパムや虚偽広告に自社名を利用されたとして訴訟を起こしたが、いずれも裁判外で和解に至っている。
プライベートに関しては極めて情報が少なく、写真もほとんど公開されていない。2008年には弁護士ケイティ・チュドノフスキー氏と結婚し、彼女は2021年に4人の子供がいると語っている。
OnlyFansは2016年にティム・ストークリー氏によって設立されたが、ラドヴィンスキー氏が買収した2019年時点ではユーザー数は1300万人に過ぎなかった。ところが、コロナ禍において在宅で収入を得る手段を求める人々の増加や、著名人の参入により利用者数は2021年までに1億8800万人へと急拡大した。2020年にはカーディ・Bやベラ・ソーンなどの著名人も参加し、ポップカルチャーの現象となった。
2021年にOnlyFansは性的コンテンツの禁止を発表したものの、ユーザーやクリエイターからの強い反発を受けて数日後に撤回した。
急成長の裏で、年齢制限の回避に関する告発や訴訟も相次いだが、同社は最先端の技術と人間による監視体制を導入し、18歳未満の利用を防ぐための対策を強化しているとBBCにたいして説明している。
2025年版『Forbes 400』ではラドヴィンスキー氏は181位にランクインし、OnlyFansの2024年の収益は14億ドル(約2200億円)、ユーザーによる消費額は72億ドル(約1兆1400億円)に達した。また、2025年8月時点でOnlyFansを80億ドル(約1兆2700億円)で売却する交渉が進められていたことが報じられている。