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「いただきます」の起源と普及をめぐる考察

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  1. Reading Practice
  2. Article Details

「いただきます」の起源きげんと普及ふきゅうをめぐる考察こうさつ

N2
08/01/20262140
「いただきます」の起源と普及をめぐる考察
0:00

食事しょくじの際さいに用もちいられる「いただきます」という挨拶あいさつは、現在げんざいでは日本にほん社会しゃかいに広ひろく浸透しんとうしているものの、その起源きげんや普及ふきゅうの過程かていについては必かならずしも明あきらかではない。
近年きんねん、SNS上じょうでは「いただきます」の由来ゆらいに関かんする議論ぎろんが活発化かっぱつかしており、とりわけ日本語にほんご研究家けんきゅうかで青山学院大学あおやまがくいんだいがく名誉教授めいよきょうじゅの近藤こんどう泰弘やすひろ氏しの調査ちょうさ結果けっかが注目ちゅうもくを集あつめている。
近藤こんどう氏しは、「いただきます」が食材しょくざいや調理者ちょうりしゃへの感謝かんしゃを示しめす言葉ことばとされる説せつについて、その信憑性しんぴょうせいに疑問ぎもんを呈ていしている。実際じっさい、国立国会図書館こくりつこっかいとしょかんデジタルコレクションを用もちいて実証的じっしょうてきに調査ちょうさした所ところ、挨拶あいさつとしての「いただきます」の最古さいこの用例ようれいは、大正たいしょう6年ねん(1917年ねん)刊行かんこうの『小学校しょうがっこうに於おける作法さほう教授法きょうじゅほう要綱ようこう及および細目さいもく』(伊形いがた精一せいいち著ちょ)に見みられるという。ここには「食事しょくじの心得こころえ」として、「食事しょくじの終始しゅうしに挨拶あいさつをなすべし『いただきます』『ごちそうさま』」と記しるされており、学校教育がっこうきょういくの現場げんばで用もちいられていたことがうかがえる。
また、近藤こんどう氏しの見解けんかいによれば、現代的げんだいてきな意味合いみあいで「いただきます」が普及ふきゅうし始はじめたのは、およそ100年前ねんまえに過すぎず、当時とうじの政府せいふが近代教育きんだいきょういくの一環いっかんとして意図的いとてきに広ひろめた可能性かのうせいが高たかいという。自身じしんが『日本国語大辞典にほんこくごだいじてん』(小学館しょうがくかん)編集委員へんしゅういいんとして多おおくの言葉ことばの初出例しょしゅつれいを調査ちょうさする中なかで、「いただきます」に関かんする情報じょうほうが極きわめて限かぎられていることに気付きづき、今回こんかいの調査ちょうさに至いたったと語かたる。
調査ちょうさの過程かていで明あきらかになったのは、明治めいじ24年ねん(1891年ねん)の木原きはら季四郎きしろう編へん『子供こどものをしえ』や、明治めいじ37年ねん(1904年ねん)の修身しゅうしん教科書きょうかしょ、明治めいじ40年ねん(1907年ねん)の小学校しょうがっこう作法書さほうしょなど、より古ふるい資料しりょうにも「いただきます」または「頂戴ちょうだいいたします」といった表現ひょうげんが見みられることである。しかし、これらの記述きじゅつは、当時とうじ「いただきます」が社会的しゃかいてきに広ひろく普及ふきゅうしていなかったことを示唆しさしている。もし一般的いっぱんてきな習慣しゅうかんであったならば、あえて明記めいきする必要ひつようはなかったはずであり、むしろ一部いちぶの階層かいそうや著者ちょしゃの考かんがえを広ひろめる意図いとがあったのではないかと推察すいさつされる。
さらに、明治めいじ22年ねん(1889年ねん)に山形県やまがたけんで始はじまった学校給食がっこうきゅうしょくの普及ふきゅうとともに、修身しゅうしん教科書きょうかしょや作法書さほうしょで「いただきます」が教おしえられるようになった背景はいけいには、全国的ぜんこくてきに統一とういつされた挨拶あいさつが必要ひつようとされたことが関係かんけいしているのではないか。
近藤こんどう氏しのSNS投稿とうこうを契機けいきに、地域ちいきによる「いただきます」と手てを合あわせる習慣しゅうかんの違ちがいや、明治期めいじきの西洋文化せいようぶんか受容じゅようの一環いっかんとしてキリスト教きょうの食前祈祷しょくぜんきとうとの関連性かんれんせいを指摘してきする意見いけんも寄よせられた。特とくに、近畿きんき、北陸ほくりく、中国地方ちゅうごくちほうなどでは手てを合あわせる習慣しゅうかんが顕著けんちょであり、これは各地域かくちいきの宗派しゅうは事情――例たとえば浄土真宗じょうどしんしゅうの普及率ふきゅうりつなど――が影響えいきょうしている可能性かのうせいがある。
このように、「いただきます」という言葉ことばの歴史れきしは、単たんなる日常にちじょうの挨拶あいさつにとどまらず、学校教育がっこうきょういくや宗教しゅうきょう、さらには西洋文化せいようぶんかの受容じゅようといった社会的しゃかいてき背景はいけいと密接みっせつに関かかわっていることが明あきらかとなった。言葉ことばの変遷へんせんを辿たどることは日本文化にほんぶんかの奥深おくぶかさを再認識さいにんしきさせるものであり、今後こんごもさらなる研究けんきゅうが期待きたいされる。
なお、近藤こんどう氏しが編集へんしゅうに携たずさわる『日本国語大辞典にほんこくごだいじてん』第三版だいさんぱんは、2027年ねんに2.1版ばんの中間ちゅうかんバージョンが公開こうかい予定よていであり、2032年ねんには完成かんせいを目指めざしている。改訂かいていスケジュール等とうの詳細しょうさいは小学館しょうがくかんホームページ内ない「日本国語大辞典第三版にほんこくごだいじてんだいさんぱんはじめます」にて随時ずいじ公開こうかいされているため、関心かんしんのある方かたは是非ぜひ参照さんしょうされたい。

Source: Livedoor
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Comment

N517%
N413%
N341%
N28%
N122%

Vocabulary (21)

信憑性しんぴょうせいN2
Reliability, authenticityNoun
疑問ぎもんを呈ていするN2
To raise a question, to doubtVerb
実証的じっしょうてきN2
Empirical, evidence-basedAdjective
用例ようれいN2
Usage exampleNoun
刊行かんこうN2
PublishingNoun
心得こころえN2
Basic knowledge, things you should knowNoun
初出例しょしゅつれいN2
The first example that appearedNoun
推察すいさつするN2
GuessVerb
給食きゅうしょくN2
School MealsNoun
顕著けんちょN2
Stand out, be clearAdjective
宗派しゅうはN2
SectNoun
事情じじょうN3
Situation, circumstancesNoun
浄土真宗じょうどしんしゅうN2
Jodo ShinshuNoun
普及率ふきゅうりつN2
Adoption rateNoun
密接みっせつにN2
CloseAdverb
変遷へんせんN2
biến đổi, thay đổi → 変化、変更 → Transformation, change → Change, modificationNoun
辿たどるN2
trace, follow the trailVerb
奥深おくぶかさN2
DepthNoun
中間ちゅうかんバージョンN2
Intermediate versionNoun
改訂かいていN2
Correction, editingNoun
随時ずいじN2
AnytimeAdverb

Grammar (2)

Verb in た-form + ところN2
Expresses the result or state that occurs after performing an action; emphasizes the result discovered after the action.実際、国立国会図書館デジタルコレクションを用いて実証的に調査したところ、挨拶としての「いただきます」の最古の用例は、大正6年(1917年)刊行の『小学校に於ける作法教授法要綱及細目』(伊形精一著)に見られるという。
Noun + にすぎないN2
Expresses the meaning of just..., nothing more, nothing less, emphasizing the small amount, unimportance.現代的な意味合いで「いただきます」が普及し始めたのは、およそ100年前に過ぎず、当時の政府が近代教育の一環として意図的に広めた可能性が高いという。

Question

近藤こんどう泰弘やすひろ氏しの調査ちょうさによると、「いただきます」という挨拶あいさつが現代的げんだいてきな意味いみで広ひろまった主おもなきっかけは何なにですか。

1/5
A食材や調理者への感謝の気持ちが強まったから
B政府が近代教育の一環として広めたから
C宗教的な儀式が普及したから
DSNSの影響で広まったから

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