むかし、広島県の能美島という島に、利平さんという船の運転をする人がいました。
ある年の秋、利平さんは、息子がとったたくさんの鯛を船に積んで、大阪に売りに行きました。途中で船の下のほうから変な音が聞こえてきました。利平さんが見に行くと、船の中に1匹の狐がいて、鯛の目から飛び出した目玉を吸っていました。
利平さんは怒って、狐を捕まえて縛りました。すると、狐は「私は比治山に住むおさんという狐です。鯛の目玉が好きで船に入りました。鯛は私が売ってきますから、許してください」と言いました。
大阪の港に着くと、狐は魚を売る人に変わって、目が飛び出した鯛を売りに行きました。しかし、「気持ちが悪い」「古くなった魚ではないか」と言われて、どこでも売ることができませんでした。
狐は「目が出ている鯛だから『めでたい』と言って売ればいい」と教えてもらいました。狐は「めでたい鯛ですよ」と言って売ると、どんどん売れました。
利平さんは、そのお金で孫にプレゼントを買うことができて、とても喜びました。そして、狐を広島まで送ってあげました。