昔、安芸の川戸村の外原というところでは、畑に石炭の石がたくさんありました。そのため、牛が引く鋤の先がよくこわれて、村の人たちはこまりました。特に村のはずれに住んでいるおじいさんの畑は、がらが一番多かったです。おじいさんの先祖は、少しずつがらを取って、やっと作物を作ることができました。ある日、おじいさんはがまんして、やっと子牛を買いました。おじいさんはべこを大切に育てました。べこは仕事もよくできるようになり、春になって畑を耕すことになりました。畑でべこが土を引いていると、急に鋤が何かに当たりました。べこはびっくりして逃げてしまいました。おじいさんが見てみると、それは血がにじんだふしぎな石でした。おじいさんが手ぬぐいで石をふくと、石は一瞬、人の顔のようになりました。おじいさんはこわくなって、その石をがら捨て場に捨てました。でも、次の日も同じ石がまた鋤に当たりました。おじいさんががら捨て場に行くと、石はもうありませんでした。おじいさんとおばあさんは、村の人にこの石を見せました。村の人は「これはおじいさんの先祖の魂が入っている石だ」と言いました。
村の人たちは石をきれいにして、神棚にまつりました。すると、石の血は消えて、へかもこわれなくなりました。村の人たちはこの石を「へか神さま」と呼び、今でも秋になるとお祭りをしています。