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江戸患い:江戸時代の富裕層の病 | Todaii Japanese

江戸えど患わずらい:江戸えど時代じだいの富裕層ふゆうそうの病やまい

N2
16/04/20261159
江戸患い:江戸時代の富裕層の病
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江戸時代えどじだい(1603〜1868年ねん)、人々ひとびとの間あいだでは裕福ゆうふくな人々ひとびとにだけ現あらわれる奇妙きみょうな病やまいが噂うわさされていました。贅沢ぜいたくな暮くらしを送おくる者ものに取とりつく「呪のろい」とも言いわれたこの病やまいは、「江戸患えどわずらい」と呼よばれていましたが、その正体しょうたいとは何なんだったのでしょうか。
江戸患えどわずらいとは?
「江戸患えどわずらい」とは、江戸時代えどじだいにおける脚気かっけ、すなわちビタミンB1の深刻しんこくな欠乏けつぼうによって起おこる病やまいの俗称ぞくしょうです。この病やまいは江戸えどで広ひろまり、特とくに精白せいはくした白米はくまいを常食じょうしょくとしていた裕福ゆうふくな人々ひとびとに多おおく見みられたため、「贅沢病ぜいたくびょう」とも呼よばれました。
名医めいい・香月牛山こうづきぎゅうざんの医書いしょ『牛山活套ぎゅうざんかっとう』には、18世紀せいき後半こうはんの江戸えどで発生はっせいした謎なぞの病やまいについて記しるされています。役人やくにんや裕福ゆうふくな商人しょうにんが、手足てあしのだるさやむくみ、食欲不振しょくよくふしんに始はじまり、やがて呼吸困難こきゅうこんなんや心臓しんぞうの衰弱すいじゃくを経へて命いのちを落おとすといった症状しょうじょうに苦くるしんだとされます。不思議ふしぎなことに、箱根はこねの山やまを越こえて江戸えどを離はなれると回復かいふくすることが多おおかったと記録きろくされています。
19世紀せいきに入はいると、この病やまいは江戸えど全体ぜんたいに広ひろがりました。当時とうじの医師いしたちは漢方薬かんぽうやくや灸治療きゅうちりょうを施ほどこし、原因げんいんを土地とちや水みず、湿度しつどにあると考かんがえていました。そのため患者かんじゃは地方ちほうへ移うつされて療養りょうようすることが一般的いっぱんてきでした。
しかし、この病やまいが主おもに裕福層ゆうふくそうにのみ発生はっせいし、貧まずしい人々ひとびとにはほとんど見みられなかったことから、人々ひとびとの間あいだでは「富とみへの呪のろい」といった噂うわさも広ひろまりました。
1877年ねんには皇室こうしつにも影響えいきょうが及および、和宮親子内親王かずのみやしんしないしんのうが31歳さいでこの病やまいにより亡なくなったとされています。また、第だい14代だい将軍しょうぐん・徳川家茂とくがわいえもちも同様どうようの原因げんいんで亡なくなったと考かんがえられています。
明治維新めいじいしん以降いこう、この病やまいは軍隊ぐんたいにも広ひろがり、1883年ねんには日本にほんの水兵すいへい1000人にん中120人にんが発症はっしょう、1904年ねんの日露戦争にちろせんそうでは約やく2万まん7000人にんの兵士へいしが命いのちを落おとしました。この時点じてんでようやく原因げんいんの解明かいめいが進すすみました。
白米はくまいという贅沢ぜいたくが生うんだ病やまい
古来こらい、日本にほんでは白米はくまいは身分みぶんの象徴しょうちょうであり、裕福ゆうふくな人ひとだけが食たべられる贅沢品ぜいたくひんでした。一方いっぽう、庶民しょみんは玄米げんまいやサツマイモ、大麦おおむぎなどを主食しゅしょくとしていました。
白米はくまいは精米せいまいによって外側そとがわのぬか層そうが取とり除のぞかれており、美うつくしく光沢こうたくのある「銀シャリぎんしゃり」として高たかく評価ひょうかされていました。しかし、その過程かていでビタミンB1がほとんど失うしなわれてしまいます。
明治時代めいじじだいになると白米はくまいは軍隊ぐんたいにも導入どうにゅうされ、兵士へいしたちは大量たいりょうの白米はくまいを食たべる一方いっぽうで、おかずが少すくない食生活しょくせいかつを送おくっていました。白米はくまい150g当あたりのビタミンB1は0.03mgしかないのに対たいし、玄米げんまいでは0.24mg含ふくまれています。
1884年ねん、海軍軍医かいぐんぐんいの高木兼寛たかぎかねひろは、肉にくや野菜やさいを含ふくむ多様たような食事しょくじを取とる人々ひとびとには脚気かっけが少すくないことを発見はっけんし、食事改善しょくじかいぜんによって症状しょうじょうが改善かいぜんすることを確認かくにんしました。
その後ご1897年ねん、オランダの医師いしクリスティアーン・エイクマンが、白米はくまいを食たべた鶏にわとりに脚気かっけのような症状しょうじょうが現あらわれ、玄米げんまいに戻もどすと回復かいふくすることを発見はっけんしました。
最終的さいしゅうてきに、江戸患えどわずらいの原因げんいんは白米はくまい中心ちゅうしんの偏かたよった食生活しょくせいかつによるビタミンB1不足ふそくであることが明あきらかになりました。皮肉ひにくにも、富とみの象徴しょうちょうであった白米はくまいが多おおくの命いのちを奪うばっていたのです。
1910年ねん、鈴木梅太郎すずきうめたろうは米こめぬかからオリザニン(現在げんざいのビタミンB1)を抽出ちゅうしゅつし、脚気治療薬かっけちりょうやくとして用もちいました。これは世界せかいで初はじめて発見はっけんされたビタミンであり、日本にほんの栄養学えいようがくの発展はってんに大おおきく貢献こうけんしました。
1914年ねんには、北里柴三郎きたざとしばさぶろうの弟子でしである佐伯矩さえきただすが栄養研究所えいようけんきゅうじょを設立せつりつし、食事しょくじの栄養価えいようか向上こうじょうに取とり組くみました。彼かれは玄米げんまいと白米はくまいの長所ちょうしょと短所たんしょを踏ふまえ、ぬかを30%残のこした七分しちぶづき米まいを推奨すいしょうしました。
1930年代ねんだいには、七分しちぶづき米まいと胚芽米はいがまいのどちらを標準ひょうじゅんとするかで議論ぎろん(胚芽米論争はいがまいろんそう)が起おこり、最終的さいしゅうてきに1939年ねんの精米規制法せいまいきせいほうでは七分しちぶづき米まいが採用さいようされました。佐伯矩さえきただすは後のちに「日本栄養学にほんえいようがくの父ちち」と呼よばれるようになります。

Source: TODAII
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Question

江戸えど患わずらい(えどわずらい)は、どのような人々ひとびとの間あいだで多おおく見みられた病気びょうきですか。

1/5
A農民のうみん
B裕福ゆうふくな人々ひとびと
C子供こども
D武士ぶしだけ

Vocabulary (11)

脚気かっけN2
BeriberiNoun
俗称ぞくしょうN2
Common nameNoun
精白せいはくN2
Polished riceNoun
食欲不振しょくよくふしんN2
Loss of appetiteNoun
呼吸困難こきゅうこんなんN2
SuffocatingNoun
湿度しつどN2
HumidityNoun
裕福層ゆうふくそうN2
Wealthy peopleNoun
日露戦争にちろせんそうN2
Russo-Japanese WarNoun
七分しちぶづき米まいN2
Polished riceNoun
胚芽米はいがまいN2
Germinated brown riceNoun
精米規制法せいまいきせいほうN2
Rice Milling Management LawNoun

Grammar (1)

Noun + におけるN2
Expresses the scope, location, or time at which an event occurs; formal and used in writing.「江戸患い(えどわずらい)」とは、江戸時代における脚気(かっけ)、すなわちビタミンB1の深刻な欠乏によって起こる病の俗称です。

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