農林水産省によりますと、全国のスーパーで今月21日までの1週間に販売されたコメの平均価格は、5キロあたり税込みで4246円でした。前の週より29円値下がりしましたが、3週連続で4000円を超える高値が続いています。コメの生産や流通に詳しい専門家は「この1年は5キロ4000円を超える価格が続く可能性は十二分にある」と話しています。
26日のコメに関する動きをまとめました。
新米価格 例年と異なり地域ごとの差なくなる販売店も困惑
コメの販売店では、新米の価格について例年と異なり地域ごとの差がなくなっていることから、どのように情報を発信し、客に買ってもらうか頭を悩ませています。
横浜市にあるコメの販売店では、北海道から沖縄まで全国各地の150銘柄ほどのコメを取扱っていて、ことしは7月ごろから新米を販売しています。
ほとんどのコメを生産者から直接、仕入れていますが、業者間でコメの集荷競争が激しくなっているため、この店の仕入れ価格も例年と比べて1.5倍から2倍ほど高くなっているということです。
さらに例年は、コメの産地や銘柄、それに出荷時期などで販売価格が異なっていましたが、ことしはその差がなくなっているといいます。
このうち、千葉県産の「コシヒカリ」は例年なら1キロあたりおよそ600円、新潟県魚沼産の「こしいぶき」はおよそ800円で販売していましたが、ことしの販売価格はいずれも1300円ほどになっているということです。
比較的手ごろな価格だったコメが値上がりしたことで、客の数や販売量は去年に比べて3割ほど減っているということです。
今まで5キロ単位で買っていた客が量を減らすケースなどもあるということで、店では、消費者の間で買控えの動きが出ているのではないかとみています。
このため期間限定でコメが割安に買える情報をSNSで発信するなどして、客をつなぎとめようと頭を悩ませています。
農家産直米すえひろ 荒金一仁代表
「1キロあたり1000円を超えると買わずに帰る客が多くなり、コメも1000円の壁があると思った。このままだとコメ離れが起きるのではと気にしている」
長野でも新米の販売始まる その価格は…
JAグループのスーパー「長野県A・コープ店舗」で25日からことしの新米の販売が始まり、長野市内店舗では届けられた新米を従業員が手際よく棚に並べていきました。
価格は県内産のコシヒカリが5キロあたり税抜き3990円で、令和6年産のコメの直近の店頭価格、税抜き4000円前後とほぼ同じ水準になっています。
一方、去年の新米の売出当初価格と比べるとおよそ1.5倍に値上がりしているものもあるということです。
長野市の60代の買物客は「備蓄米も食べましたが、やはり新米かなと思い購入しました。高い価格に慣れてしまっていますが、できれば下がってほしいです」と話していました。
長野県A・コープ商品第2課 樽田博儀課長
「心配されたほど作柄も悪くなくおいしい新米なので、皆さんに食べてほしい」
コメ卸売りなどの業者 新米の販売価格を引上げ 背景は
宮城県石巻市に本社があるコメの卸売りと小売を手がける業者は、今週末から始まる新米の販売に向けて準備を進めています。
この業者は、宮城県北部にあるおよそ100軒の農家からひとめぼれやササニシキなどのコメを集荷していて、毎年この時期に自社の店舗やネット通販などで新米の販売を始めています。
ことしは新米の販売にあたって価格をいくらに設定するかでもっとも悩んだということです。
業者間でコメの集荷競争が激しくなり、農家から仕入れる価格が上がっていますが、それを販売価格に転嫁すれば売行きに影響しかねないと考えたからです。
宮城県内では、JA全農みやぎが主力品種のひとめぼれについて、農家に仮払いする「概算金」の基準を、2024年産よりも4割あまり高い60キロあたり3万1000円に引上げています。
こうしたことからこの業者ではほかの地域での価格や販売の動向なども検討した結果、去年に比べて40%から50%ほど新米の販売価格を引上げることを決めました。
宮城商事 佐々木理恵取締役
「農協の概算金が高くなったことに加えて農薬や肥料などが高くなっている。農家からは少しでも高く買わなくてはならないし消費者には少しでも安く売らなくてはならないので、とても難しい」
専門家「この1年5キロ4000円超続くか コメ離れ進む可能性も」
コメの生産や流通に詳しい宮城大学の大泉一貫 名誉教授はことしの新米の価格について、「いくら資材価格や人件費が上がったといっても異常な高値だと思う。JAが生産者に仮払いする『概算金』の引上げや集荷競争の激化で、仕入値はもう決まっているので、この1年は5キロ4000円を超える価格が続く可能性は十二分にある」と話しています。
また高値がもたらす影響については、「ここまで高くなるとコメ離れが本格的に進む可能性が出てくる。業務用だけではなく家庭用米でも国産米から輸入米へという動きが出てくるのではないか。小売店にとっては需要のあるボリュームゾーンは5キロ3000円台のコメだと思うので、それが国内になければ海外から入れるということになるだろう」と指摘しています。
その上で、「海外のコメが入ってくると、国産米の需要はどんどん減ってくる。そうなれば、国内で稲作の縮小が始まるし、自給率のさらなる低下や食料安全保障にも関わる深刻な問題になりかねない。国産米離れを最小限に抑えるために政府がこれからどうしていくのか注目していきたい」と話していました。
小泉農相 コメ価格 “新米出回りなどで過渡期 冷静な対応を”
小泉農林水産大臣は26日の閣議のあとの会見で全国のスーパーで販売されたコメの平均価格が再び高値になっていることについて「新米の出回りなどを背景に過渡期にある」と述べた上で、ことしは需要を超える生産量が見込まれるとして事業者に冷静な対応をとるよう呼びかけました。
農林水産省によりますと、全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は、今月14日までの1週間で5キロあたり税込み4275円と、ことし5月中旬につけた最高値4285円に迫る水準となっています。
これについて小泉農林水産大臣は閣議のあとの会見で「新米の出回りなども背景に価格が上昇に転じる局面も見られ、過渡期にあると考えている」と述べました。
その上で向こう1年、主食用米は需要を超える生産量が見込まれるとして「事業者からはコメが足りなくなるのが心配だという声もあるが、こうしたデータもしっかり見た上で冷静に対応してもらいたい」と述べました。