「生き飽きた、生き飽きた、誰でもいいから殺されたい」と言いながら、いろいろな所を歩く男がいました。男は「南部のイキアキ」と書いた札を下げていました。東北の南部という所の生まれで、「イキアキ」と名乗っていました。
イキアキはたくさんの人と戦いましたが、誰にも殺されることはありませんでした。
あるとき、秋田にいる「ブンバイ」という剣の達人が、イキアキのうわさを聞きました。そして「南部のイキアキよ、秋田のブンバイがお前を殺してやる」と書いた札を立てました。すると、まもなくイキアキが来ました。
ブンバイは長い刀を、イキアキは火のついた木を持って、河原で戦いました。2人はどちらも強くて、どちらも負けませんでした。
しかし、夕方になって、ブンバイが疲れてきました。イキアキが投げた燃えた木がブンバイの顔に当たりました。ブンバイは倒れて、死んでしまいました。
そのとき、イキアキの体にも火がついていました。イキアキは川に飛び込もうとしましたが、遅くて、死んでしまいました。
こうして、2人の強い男は、秋田の河原で死んでしまいました。