昔、ある村に貧しいけれど仲の良い夫婦が住んでいました。夫は山で木を切り、妻は家で布を作って生活していました。ある夜、旅をしているお坊さんが家に来て、一晩泊まりました。朝、お坊さんは「あなたたちには幸せが来ますよ。果報は寝て待て」と言いました。
夫は「幸せが来るまで寝て待とう」と考え、三年間も寝てばかりいました。でも、何も良いことは起こりませんでした。ある満月の夜、夫は妻に「天窓から月のうさぎが餅をついているのが見えるよ」と言いました。その話が村に広がり、「月のうさぎを見ると幸せになれる」と噂になりました。たくさんの人が見に来て、お礼にお金や食べ物を置いていきました。夫婦はお金持ちになりました。
夫婦はもっとお金がほしくて、大きな家を建て、天窓をたくさん作りました。でも、新しい天窓からは月のうさぎが見えませんでした。人々も来なくなり、夫婦はまた貧しくなりました。
その時、またお坊さんが来て、「欲ばらず、まじめに働くことが大切です」と言いました。それから夫は、また一生けんめい働くようになりました。