日本の科学者による研究は、楽観的な人々は共通した脳活動パターンを持つ一方、悲観的な人々ではそのパターンが非常に多様であることを示した。
「幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」ロシアの文豪レフ・トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭は、家族関係を超えた真理を含んでいるように思われる。
楽観性に関する最近の研究で、日本の神経科学者たちはこれに似た原理を発見した。将来の出来事を想像する際、楽観的な人はある重要な脳領域で似た活動パターンを示す一方で悲観的な人ではそのパターンが大きく異なるという結果が得られた。
この結果は、脳内で「楽観」と「悲観」を分ける要因の理解に役立つものである。これは重要な問題であり、楽観性は身体的・精神的・社会的健康と関連している。この研究は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。
将来の出来事を考えるとき、楽観的な人の神経活動パターンは似通っている一方で悲観的な人でははるかに多様だという。
研究の主著者であり神戸大学の心理学者である柳沢邦昭博士は、「将来を想像することは主観的で非常に個人てきな行為だと考えがちだが、特に楽観的な人においては、その脳の働き方は似ている可能性もある」と述べた。また、このような共通の認知構造が、なぜ特定の人と「気が合う」と感じるのかを説明するかもしれないと付け加えた。
これまでの研究では、楽観的な人はより広い社会的ネットワークを持ち、周囲からの評価も高いことが示されている。柳沢氏は、この社会的成功が単なる性格によるものなのか、それとも楽観的な人々が社会的なつながりを築きやすくする共通の脳メカニズムを持っているのかを明らかにしようと試みた。
研究チームは機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、被験者が自分自身や配偶者に起こる未来の具体的なシナリオを想像している間の脳活動を測定した。シナリオにはポジティブなもの、中立的なもの、ネガティブなものが含まれていた。その後、参加者にアンケートを実施し、楽観性・悲観性の度合いを評価した。研究は37人のグループと50人のグループで2回行われた。
脳画像の分析では、将来の出来事を想像する際に特に活発になる前内側前頭皮質に注目した。各参加者の脳活動パターンを比較し、統計的手法を用いて類似度を評価した。
その結果、楽観的な人同士のペアのみが類似した脳活動を示し、一方または両方がより悲観的な場合は類似しなかった。
柳沢博士によると、悲観的な人の脳活動がより多様であるのは、ネガティブな状況を考える際に多様な懸念を持つことを反映している可能性があるという。また、楽観的な人は社会的に認められた目標の枠組みの中で未来を想像するのに対し、悲観的な人は個人てきな理由でそう感じない、あるいは異なる形で未来を捉えている可能性もあると述べている。
研究チームは、この結果が『アンナ・カレーニナ』の冒頭と類似していると指摘した。「楽観的な人は似ているが、楽観性の低い人はそれぞれ独自の方法で未来を想像する」と結論づけている。
さらに、楽観的な人の脳はポジティブな出来事とネガティブな出来事に対してより明確な違いを示すことも分かった。これは、楽観的な人が単に「同じように考える」だけでなく、未来の感情情報を異なる方法で処理し、良いことと悪いことをより明確に区別できることを示している。
この能力が、かれらのレジリエンス(回復力)を支えている可能性がある。
本研究に参加していないバーミンガム大学のリサ・ボルトロッティ教授は、楽観的な人はネガティブな未来の出来事を、ポジティブな出来事ほど鮮明かつ具体的には想像しない傾向があると指摘している。つまり、悪いシナリオがかれらに与える影響は小さいということだ。
かのじょはさらに、「これらの結果は楽観性が非合理的で現実を歪めるものではなく、外界の認識を変えるのではなく、それが私たちに与える影響の仕方を変えるものである可能性を示している」と述べている。
また、すべてがうまくいくと想定するだけでは課題への備えを怠る可能性があり有益ではないが、目標追求を促す楽観性は有効であると指摘した。「ポジティブな結果の実現可能性や望ましさを具体的に思い描くことは、それを大切にし、努力する動機となり、結果として達成の可能性を高めるのだ」と強調している。