米アマゾンは、約1万4000人の従業員削減を実施する方針を公表したが、その背景には財務てきな要請やAI(人工知能)導入によるものではなく、「カルチャー」、すなわち企業文化の改革があるとアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は説明している。10月30日に行われた決算説明会において、ジャシー氏はアナリストからの質問に対し、「今回の人員削減は財務上の理由ではなく、現時点でAIによるものでもない。主たる理由はカルチャーの変革である」と述べた。
同社の2023年7~9月期売上高は前年同期比13%増の約1800億ドル(約27兆7200億円)に達しており、業績の好調さが示されているにもかかわらず、組織再編が進められることとなった。ジャシー氏によれば、近年アマゾンは従業員数や拠点、事業領域の拡大に伴い、組織階層が複雑化し、現場の従業員の主体性やオーナーシップが弱まる傾向が見られるという。そのため、従来のような迅速な意思決定やリーダーシップの発揮が困難になりつつあるとの認識を示した。
米証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、アマゾンの従業員数は2021年のピーク時には160万人を超え、2022年末時点で約150万人に減少している。ジャシー氏は「我々は世界最大のスタートアップとしての機動性を維持するため、組織階層の簡素化を進める必要がある」と強調した。
また、アマゾン側は今回の人員削減について、将来てきなAI活用による効率化を見据えつつも、現段階では主に組織の柔軟性や俊敏性を高めることが目的であると説明している。しかし、テクノロジーの進展が人間の労働を不要にするのではないかという懸念も依然として根強い。なお、決算発表後にはアマゾンの株価が時間外取引で13%上昇したことからも、市場は今回の決定を肯定的に評価したといえる。