世界的に著名なアクション俳優であり、格闘技の世界王者としても名を馳せたチャック・ノリス氏が86歳で逝去した。氏の圧倒的な存在感は、1990年代のテレビドラマ『炎のテキサス・レンジャー』において不動のものとなり、世代を超えて多くのファンを魅了し続けてきた。
ノリス氏の家族は、20日午前にインスタグラムおよびフェイスブックを通じて、氏が前日、家族に見守られながら安らかに息を引き取ったことを公表した。報道によれば、ノリス氏は19日、ハワイ滞在中に原因不明の病に見舞われたという。
入院中の氏に寄せられた多くのファンからの祈りに対し、家族は深い感謝の意を表明している。なお、CNNはノリス氏の代理人にもコメントを求めている。
ノリス氏が初めて世界的な注目を集めたのは、1972年の映画『ドラゴンへの道』において、ブルース・リーの強敵役を演じたことである。その5年後には『Breaker! Breaker!』で行方不明の弟を捜すトラック運転手役として初主演を果たし、以降、『地獄のヒーロー』や『デルタ・フォース』といった作品群で、感情を表に出さない硬派なイメージと「俺のトラブルに休暇はない」などの名台詞によって、アクションスターとしての地位を確立した。
映画界での活躍が一段落した1990年代以降、ノリス氏はテレビドラマの世界に活動の場を広げ、1993年から2001年まで放送された長寿シリーズ『炎のテキサス・レンジャー』によって、再び国民的な人気を博したのである。
ノリス氏は米国オクラホマ州ライアンにて、アイルランド系米国人とチェロキー族ネイティブアメリカンを両親として生を受けた。両親の離婚後は母親および二人の弟と共にカンザス州プレーリービレッジ、さらにカリフォルニア州トーランスへと転居したという。
1950年代後半には米空軍に所属し、韓国駐留時に武道と出会い、唐手道(タンスード)を習得した経験を基に、独自の空手流派「チャック・ノリス・システム」を創設したのである。
ノリス氏の門下生にはプリシラ・プレスリー氏、オズモンズ、スティーブ・マックイーン氏など著名人も名を連ねている。1982年のCNNインタビューにおいて、ノリス氏は「空手の世界チャンピオンとして引退した後、新たな目標を求めて俳優業を志した」と語っていた。
俳優としての活動と並行し、1990年には当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領の支援を受けて、青少年の人格育成を目的とした学校内プログラム「キックスタート・キッズ(KSK)」を設立した。
この活動は空手を通じて中高生に人生を変える価値観を授けるものであり、その社会的貢献が認められ、テキサス州から表彰を受けるに至った。
ノリス氏は「もし誰もが空手を学べば、世界から暴力は減少するだろう」とかねてより述べており、空手は単なる身体的技術のみならず、精神的・心理的・感情的な強さを育むものだと強調していた。そのため、空手を通じて内面の自信や目標を培うことで、人は暴力的な衝突を克服し得るという信念を持ち続けていたのである。