JLPT N1 – Reading Exercise 83

#310

Furigana

年齢ねんれいというのは、相手あいてを理解りかいする上うえでの「１」重要じゅうようなキーワードだと、わたしは思おもっている。

同おなじく、自分じぶんを理解りかいしてもらう上うえでの重要じゅうようなキーワードでもある。

「同おなじ世代せだいだったんですね。じゃあ、あれ、ご存ぞんじでしょ～」

ということもあれば、

「へえ、十歳じゅっさいちがうと、やっぱり考かんがえ方かたが異ことなってくるものですねえ」

ということもあるだろう。

それにわたしは、「２」自分じぶんの年齢ねんれいを恥はじたりしていない。若わかくして亡なくなる人ひともいるというのに、わたしはいま現在げんざいで半世紀はんせいきもの年月ねんげつを生いきることができた。いやなこともいいこともいっぱいあったが、そのどれもが、かけがえのないわたしの人生じんせい、一年いちねんたりとも否定ひていしたりごまかしたりしたくはない。

しかし、かなりの文化人ぶんかじんではあっても、女性じょせいの中なかには年齢ねんれいを公おおやけにしたがらない方かたがけっこういらっしゃるようだ。あるシンポジウムに参加さんかした時とき、パンフレットのパネラー紹介しょうかいで、わたしのところだけ年齢ねんれいがなかった。他のパネラーは男性だんせいで、全員ぜんいん、ちゃんと年齢ねんれいが記しるされている。どうしてでしょうと問い合わせといあわせると、「３」女性じょせいの方かたは年齢ねんれいを入いれないでほしいとおっしゃる方かたが多おおいので、と言いわれた。つまり、勝手かってに気遣きづかって、わたしだけ年齢ねんれいを伏ふせてくださったとうわけだ。よけいなお世話せわである。ひとこと、どうしますかと尋たずねてほしかったのにと、「４」かえって腹はらがたった。

（山崎やまざき洋子ようこ「隼齢じゅんれいは堂々どうどうと１コにしよう」「笑顔えがお』１９９９年ねん２月がつ号ごう―保健ほけん同人社どうじんしゃによる）

かけがえのない：他ほかに代かえられない、大切たいせつな

シンポジウム：ある問題もんだいについての意見いけんや研究けんきゅう結果けっかの発表会はっぴょうかい

パネラー：シンポジウムなどの講師こうし・発言者はつげんしゃ