子どもが自室に閉じこもるのは親かち独立した自分だけの精神的世界を持ちはじめたことの現れだろうから、悪いとばかりは言えない。子どもだって、自分が親に完全管理されることをいつか嫌うようになるもので、もしそうならないとすれば、また「1」別の心配が生じるだろう。しかし、そうは言っても、これは程度問題で、子どもが学校から帰ってから寝るまで、食事の時を除いてずうっと自分の部屋にいる、というのでは、家族間
のコミュニケーションも稀薄になる。だから、子どもがある年齢に達して自室に閉じこもりがちになることを、一つの成長過程として認めるにしても、建築的に「2」それを
助長するような空間のつくり方は避けるべきだろう。
そういう考え方にしたがうと、子ども部屋は、あんまり居心地が良くない方がよいのではないか。居心地が良くない、というと語弊があるが、少なくても良すぎない方がいい。もっと正確に言えば、ある内向的な時を過ごすには居心地がいいが、その気持ちがふっと外へ向いた時には、多少気づまりに感じられて、自然に部屋の外へ、居間や食堂へ出ていきたくなるような部屋がいい。
(渡辺武信『住まい方の思想』中央公論社による)
1.
子どもが独立心を持ちすぎて、自分だけの世界に閉じこもる心配
2.
子どもに独立心が生まれず、親に依存する子どもになる心配
3.
親が子どもに対して影響力を持たなくなる心配
4.
親が子どもに完全に支配されることになる心配
1.
子どもが自分の部屋に閉じこもらないようにすること
2.
成長過程に必要なコミュニケーションをとること
3.
子どもが自分の部屋に閉じこもりがちになること
4.
家族間のコミュニケーションが生まれること
1.
子ども部屋は、子どもの独立心を養うためには不要である。
2.
子ども部屋は、子どもがある年齢に達するまで必要である。
3.
子ども部屋は、子どもが管理されすぎない設計がいい。
4.
子ども部屋は、子どもにとって快適すぎない設計がいい。