私わたしたちは、日々ひび、大量たいりょうの情報じょうほうを処理しょりしなければならない現代げんだいにおいて、本ほんもまた、「できるだけ速はやく、たくさん読よまなければいけない」という一種いっしゅの強迫観念きょうはくかんねんにとらわれている。「速読そくどくコンプレックス」と言いい換かえてもいいかもしれない。しかも、楽らくをしてそれができるのであれば、言いうことはない。巷ちまたに溢あふれかえっている速読法そくどくほうを説とく本ほんは、そうした心理しんりに巧たくみにつけこむように書かかれている。もちろん、時ときと場合ばあいによっては、速はやく読よむことも必要ひつようだろう。「明日あしたまでに大量たいりょうの資料しりょうを読よんで書類しょるいを作つくらなければいけない」といった状況下じょうきょうかでは、速読そくどくや斜ななめ読よみは避さけられないだろう。しかしそれは、単たんに一時的いちじてきな情報じょうほうの処理しょりであり、書かかれた内容ないようを十分じゅうぶんに理解りかいし、その知識ちしきを、自分じぶんの財産ざいさんとして身みにつけるための読書どくしょではない。単たんに、情報じょうほうの渦うずの中なかに否応いやおうなく巻まき込こまれてしまっているだけで、自分じぶんの人生じんせいを、今日きょうのこの瞬間しゅんかんまでよりも、さらに豊ゆたかで、個性的こせいてきなものにするための読書どくしょではないのである。読書どくしょを楽たのしむ秘訣ひけつは、何なによりも、「速読そくどくコンプレックス」から解放かいほうされることである!本ほんを速はやく読よまなければならない理由りゆうは何なにもない。速はやく読よもうと思おもえば、速はやく読よめるような内容ないようの薄うすい本ほんへと自然しぜんと手てが伸のびがちである。その反対はんたいに、ゆっくり読よむことを心こころがけていれば、時間じかんをかけるにふさわしい、手応てごたえのある本ほんを好このむようになるだろう。(平野ひらの啓一郎けいいちろう『本ほんの読よみ方かたスロー・リーディングの実践じっせん』による)強迫観念きょうはくかんねんにとらわれている:ここでは、強つよい思おもいから逃にげられない~に巧たくみにつけこむ:ここでは、~をうまく利用りようする斜ななめ読よみ:ざっと読よむこと
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