Sobre Todaii Japanese
Rede Social
Versão do App
Outros Apps
Direitos autorais pertencem à eUp Technology JSC
Copyright@2026
JLPT N1 – Reading Exercise 120
現代げんだいの都市計画としけいかくや社会設計しゃかいせっけいの場ばにおいては、脳のうの働はたらきでいうところの「論理的整合性ろんりてきせいごうせい」の個人差こじんさは極きわめて少すくない。例たとえば、駅えきの改札かいさつからホームまでの最短さいたんルートを設計せっけいすれば、ほとんどの人ひとはそこを「正ただしい道みち」として認識にんしきし、利用りようする。利便性りべんせいを追求ついきゅうした設計せっけいに対たいし、ある人ひとは「便利べんりだ」と感かんじ、別べつの人ひとは「不便ふべんだ」と真逆まぎゃくの結論けつろんを出だすという事態じたいは、設計思想せっけいしそうが共有きょうゆうされている限かぎり、そう頻繁ひんぱんには起おこり得えない。同様に、信号機しんごうきの色いろの意味いみや、レジでの待まち列れつの並ならび方かたなど、効率こうりつを重おもんじるシステムの情報処理じょうほうしょりにおいて、個人こじんの解釈かいしゃくのばらつきは最小限さいしょうげんに抑おさえられている。その一方いっぽうで、ある空間くうかんを「心地ここちよい」と感かんじたり、あるいは「美うつくしい」と感かんじたりする感性かんせいの反応はんのうにおいては、個人こじんによるばらつきが極きわめて大おおきくなるのが通例つうれいである。同じ公園こうえんのベンチを前まえにしても、すべての人ひとがそこを憩いこいの場ばだと感かんじたり、逆ぎゃくにすべての人ひとがそこを無意味むいみな場所ばしょだと思おもうとは限かぎらない。ある人ひとが静寂せいじゃくを求もとめて愛あいする場所ばしょを、別べつの人ひとが孤独こどくすぎて耐たえられないと思おもうのはごく普通ふつうのことである。意味いみの解釈かいしゃくにおいては、脳のうの反応はんのうに大おおきな個人差こじんさが見みられるのである。そもそも、都市としにおける「無駄むだ」の働はたらきとは何なんであろうか。ひと昔むかし前まえまでは、無駄むだな空あき地ちや目的もくてきのない広場ひろばは、都市としの機能性きのうせいを阻害そがいする類型的るいけいてきな「失敗しっぱい」であると考かんがえられてきた。経済合理性けいざいごうりせいが担になっている都市としの成長せいちょうが環境かんきょうの変化へんかに応おうじて緻密ちみつな開発かいはつを行おこなうのに対たいして、古ふるい街並まちなみに残のこる「路地裏ろじうら」や「名なもなき空地あきち」は、生産性せいさんせいのない、取とり壊こわされるべき対象たいしょうと思おもわれていたのである。しかし、近年きんねんの環境心理学かんきょうしんりがくや都市論としろんの進展しんてんにより、こうした「余白よはく」は、むしろ人間にんげんが精神的せいしんてきな平衡へいこうを保たもつための不可欠ふかけつな適応戦略てきおうせんりゃくであることが明あきらかになってきた。効率こうりつだけでは割わり切きれない、目的もくてきの見みえない生なまの状況じょうきょうにおいて、それでも人間にんげんが自分じぶんを取とり戻もどし、思考しこうを巡めぐらせることを支ささえるためのバッファ(緩衝材かんしょうざい)として、無駄むだな空間くうかんは存在そんざいしていると考かんがえられるに至いたったのである。無駄むだな空間くうかんが不確実ふかくじつな都市生活としせいかつに対たいする適応てきおうであると考かんがえると、その場所ばしょに対たいする反応はんのうにおいて個人差こじんさが生しょうじるのは自然しぜんなことである。変化へんかの激はげしい現代社会げんだいしゃかいの下もとでは、心こころの安やすらぎを得えるための「正解せいかい」の場所ばしょは一ひとつとは限かぎらないからである。さまざまな人々ひとびとが異ことなる場所ばしょに価値かちを見出みいだし、都市としの中なかに多様たような「居場所いばしょ」が点在てんざいしているほうが、人間にんげんという集団しゅうだん全体ぜんたいとしては、むしろ変化へんかに強つよい適応的てきおうてきな社会しゃかいといえる。危機的ききてきなストレス状況下じょうきょうかにおいては、たとえ、ある場所ばしょで癒いややしを得えられなかった人ひとがいたとしても、別べつの「無駄むだな空間くうかん」に救すくわれる人ひとがいれば、社会しゃかい全体ぜんたいの精神的せいしんてき崩壊ほうかいを免まぬかれることができるからである。全体ぜんたいが同じ「効率的こうりつてきな空間くうかん」だけに依存いぞんしてしまっては、想定外そうていがいの事態じたいや価値観かちかんの転換てんかんに対たいして非常ひじょうに脆弱ぜいじゃくになってしまう。他人たにんが、自分じぶんには理解りかいできない場所ばしょに執着しゅうちゃくしたり、異ことなる価値観かちかんを見みせることを許容きょようすることの倫理的りんりてき基礎きそは、まさにこの点てんにある。他人たにんが自分じぶんと異ことなる風景ふうけいに意味いみを見出みいだしていることに違和感いわかんを覚おぼえるのは自然しぜんな心理しんりだが、それに縛しばられてはいけない。自他じたの価値観かちかんの差異さいに対たいして許容的きょようてきであることが、多様たような個性こせいが共存きょうぞんする高度こうどな生命哲学上せいめいてつがくじょうの原理げんりにかなっているのである。
JLPT N1 – Reading Exercise 121
JLPT N1 – Reading Exercise 122
JLPT N1 – Reading Exercise 123