瀬戸内海の水島灘では、たくさんの人が戦いで亡くなりました。
何百年かあと、1隻の船が水島灘を通りました。夜でした。船が島の近くに来たとき、急に船が動かなくなりました。海の下から「ひしゃくを貸せ」という声が聞こえました。ひしゃくは、水をくむための道具です。
船に乗っていた人たちはびっくりしました。若い人がひしゃくを海に投げようとしました。年を取った人は止めましたが、ひしゃくは海に落ちてしまいました。
すると、海の中からたくさんの白い手が出てきました。みんなひしゃくを持っていました。白い手はひしゃくで海の水を船に入れました。船はだんだん沈みました。
年を取った人は、底に穴があいているひしゃくを海に投げました。白い手はどんどん消えていきました。
年を取った人は、ひしゃくで水をくむことができないようにしたのです。
船の人たちは、戦いで亡くなった人のために、これからは船から海に水を入れようと話しました。