日本は高所得国として知られているものの、近年は多くの家庭が経済的な負担を感じている実態が明らかになっている。
厚生労働省が公表した2023年所得再分配調査によると、年金や各種給付金などを受け取る前の所得で見ると、世帯の51.3%が年間250万円未満の収入にとどまっていることが分かった。
さらに、年間所得が50万円未満の世帯は30.4%に上る一方で、1,000万円以上の世帯はわずか9.6%にすぎない。こうした結果から、決して少なくない世帯が厳しい家計状況に置かれていることがうかがえる。
また、再分配前の平均所得は2021年の423.4万円から2023年には384.8万円へと減少した。わずか2年間で38.6万円、率にして約9.1%の減少となったことからも、所得環境の厳しさが浮き彫りになっている。
近年、多くの企業が賃上げを実施しているとはいえ、物価上昇の勢いに追いついているとは言い難い。食料品や電気代、ガス代、家賃などの生活費が相次いで上昇しているため、実質的な購買力は低下しつつある。
そのため、「給料は上がったにもかかわらず、生活は楽にならない」と感じる人が少なくない。名目上の収入が増えたとしても、必要な支出を差し引けば、自由に使えるお金や貯蓄に回せる金額は以前より少なくなっているのである。
金融評論家の橘玲氏は、日本が直面している問題は単なる貧富の格差ではなく、社会のさまざまな層が経済的な圧力を感じるようになっている点にあると指摘している。
こうした状況を踏まえると、生活の豊かさを判断する際には年収の額面だけを見るのではなく、生活費や実際の購買力、さらには将来に向けた貯蓄のしやすさまで含めて考える必要があるだろう。