JLPT N1 – Reading Exercise 95
A
現代の都市生活者は、「自然離れ」という言葉で語られるように、自然環境への関心が希薄になっているとしばしば指摘される。かつて都市住民が憧れた田舎暮らしやアウトドア活動に、今ではあまり興味を示さない人が増えているという。その要因としては、都市化の進展により身近に自然を感じる機会が減少したことや、日常生活が便利になったことで自然の恩恵を意識しなくなったことが挙げられるだろう。しかし、幼少期から都市の利便性に囲まれて育ったため、自然そのものへの渇望が弱いことも一因と考えられる。
とはいえ、そうした都市生活者も全く自然に触れないわけではない。彼らは、単なる自然体験ではなく、他者と共に過ごす時間や特別な経験を共有する場として自然を求める傾向がある。
B
都市住民の自然との関わり方を俯瞰すると、現代人は都市化や交通インフラの発展、情報技術の進歩によって、従来よりも手軽に多様なレジャーやサービスを享受できる環境にある。安価で質の高い娯楽やサービスが増え、余暇の過ごし方も多様化していることで、選択肢が広がっている。こうした変化により、現代の都市生活者は「田舎暮らし」や「アウトドア活動」といった従来の自然志向への関心が相対的に低下しているのだろう。
つまり、「都市生活者は自然を求めない」のではなく、自然に触れる必要が少なくなり、価値観の変化によって求めるもの自体が変化しているのである。