JLPT N1 – Reading Exercise 107
現代社会において「働くこと」の意味は、かつてよりも複雑で多様になっている。若者は将来どんな職業に就くのか、どんな人生を歩むのかを考えながら、日々大人たちの姿を観察している。もし大人が自分の仕事に誇りや充実感を持っていれば、若者は「自分もあんなふうに生きてみたい」と思うだろう。逆に、どこか無気力で、ただ義務的に働いているように見える大人を見れば、「ああはなりたくない」と感じるかもしれない。あるいは、失敗や挫折を経験しながらも前向きに生きる大人の姿に触れ、「失敗してもやり直せるんだ」と勇気づけられることもある。いずれにせよ、若者は「1」このように常に大人の生き方を見つめているのである。
(中略)
やがて若者も大人になる。そのとき、もし大人たちが自分の人生に満足していなかったら、それは若者にとって「自分の未来に希望がない」と告げられているのと同じだ。大人になっても楽しいことがなさそうだ、努力しても報われないのだと感じたら、「2」これほど若者にとって残酷なことはない。
大人は、常に若者に見られていることを意識しなければならない。完璧な姿を演じる必要はない。むしろ、失敗したときは素直に認め、困難に立ち向かう姿を見せることが大切だ。人生の先輩としてではなく、経験を積んだ「ベテランの若者」として、どのように悩み、どのように乗り越えてきたかを率直に語ることで、若者は大人の世界に希望を見いだすことができる。それが、次の世代の未来を明るくするのだと私は思う。