JLPT N2 – Reading Exercise 76
美術館や映画館で芸術作品を鑑賞するとき、多くの人はガイドの説明や解説書に頼りがちです。しかし、最も有効な方法の一つは、まず説明を読まずに、自分の目で色や構図をじっくり感じ取ることです。私も新しい作品に出会ったときは、必ずこの方法で鑑賞するようにしていますが、そうすると、さまざまな発見が生まれてきます。
知識や解説に頼らず、ただ目で作品を味わうことは、私たちの心を自然に素直で直接的な感受性のレベルにとどめてくれます。そして、作品の中に自分なりの意味や感情を探ろうとする心の働きが強くなります。そうして見ていくと、作品そのものが何かを語りかけてくる場合と、解説を読まなければ何も感じられない、いわば装飾的な存在にとどまる場合とが、はっきりしてきます。作品が自分に語りかけてこないものは、本当の意味で「1」芸術作品とは言えないものだと気づくことも少なくありません。
また、目だけでじっくり鑑賞していると、色彩や構図が持つ雰囲気やリズムも、説明と合わせて見るときより、よく感じ取れる気がします。そして、それをつかんだあとで解説を読むと、作品と説明の関係がしっくりいっているかどうかが、はっきりわかります。具体的な内容が説明と作品で食い違っているのはもちろん問題ですが、全体の雰囲気や印象が、解説と合わないのは、芸術鑑賞としては「2」大きな問題です。
(注)しっくりいく:よく合う