昔、岐阜県の坂下という村に「のう」という大きな化け物がいました。のうは木曽川の水をたくさん飲むと言われていましたが、正体は誰も知りませんでした。嵐が強い年、村の人たちは「のうが暴れている」と話しました。のうを静かにするためには、村で一番きれいな娘をささげなければなりませんでした。
ある年、また大きな嵐が来ました。でも、村には「つゆ」という娘しか残っていませんでした。つゆはあまり美人ではありませんでしたが、村の人たちのために自分からのうのところへ行くと言いました。お母さんや村の人は止めましたが、つゆは一人で山へ行きました。
山の上でのうが現れ、つゆを見てとても喜びました。つゆはこわかったですが、「私を食べたら、もう暴れないでください」とお願いいしました。のうは「お前はとてもかわいい娘だ」と言って、つゆを大切にしました。
次の日の朝、つゆと、今までのうにささげられた娘たちが村に帰ってきました。村の人たちはとても喜びました。つゆは「のうは、私のような娘が最初から来てくれたら暴れなかったと言いました。だから、今まで食べた娘たちを返してくれとお願いいしました」と話しました。
その後、のうはもう暴れなくなり、たまに村に来ても、つゆがにらむとすぐにおとなしくなりました。やがて、のうは大きな足跡を残してどこかへ行ってしまい、その足跡は池になりました。村の人たちはその池を「のうが池」と呼んでいます。