JLPT N1 – Reading Exercise 37
A
都市計画においては、住民の利便性や快適性を重視するが、すべての住民の要望を等しく満たすことはできない。なぜなら、ある施策を推進すれば、必ず恩恵を受ける人と不利益を被る人が現れるからである。つまり、行政がどのような決定を下しても、その結果として利益を得る住民と損失を被る住民が生じる。したがって、都市計画の実施とは、特定の集団に利益をもたらすことに他ならない。
(中略)
唯一明確に言えるのは、都市は人間社会の活動を円滑に進めるために存在するということである。すなわち、「都市は人間のため」に設計されるべきなのである。言い換えれば、人間の生活にとって有益な都市環境を優先して整備すべきなのである。
B
現代都市学の根幹をなす概念である多様性は、様々な人々の共存によって維持される。したがって、都市学では、少数派や社会的弱者の生活環境の保全に関する知識と方法が重要な課題となる。
(中略)
しかし、個々の住民の要望をすべて個別に実現することは極めて困難である。一つの都市には、子供から高齢者、障害者、外国人など多様な人々が暮らしているが、その全てのニーズを把握し、満たすことはほとんど不可能である。さらに、無視されがちな小さな集団や個人の多様性は、個別対応の方法ではかえって見落とされる恐れがある。そこで、多様な人々の相互関係を含む都市環境そのものを維持することが重要となる。つまり、都市全体の調和を保つことで、そこに暮らすすべての人々の生活を守るという考え方である。