JLPT N1 – Reading Exercise 125
現代社会において、個人の「声」をどのように表現するかは、しばしばその人の存在感を左右する。特に文章やスピーチの世界では、独自の表現スタイルが「その人らしさ」を際立たせる最大の要素となる。
表現のコツは、相手に最も強く伝わる特徴をつかむことにある。たとえば、語尾の使い方や独特の比喩、話し方のリズムなど、ちょっとした癖が印象を決定づけることもある。
著名な作家でいえば、村上春樹は比喩の巧みさ、夏目漱石は独特の語調、太宰治は自嘲的な語り口が、それぞれの「声」として認識されている。
一般的に、個性の強い文章は「___1___」。言い換えれば、型にはまらない表現が多いからだ。こうした文章は、一読しただけで強く印象に残り、模倣が難しい。そう、表現は直感的に感じ取るのが一番だ。細部まで分析しようとすると、かえって本質的な個性がぼやけてしまう。
特に、他人の文章を参考に自分のスタイルを作ろうとすると、元の文章自体がその人特有のものであるため、なかなか独自性を見出せないことがある。
そもそも、際立った特徴が見当たらない文章も存在する。こうした文章は一見平凡に見えるが、「無個性」という点が、逆に特徴とも言えるだろう。
私は、こうした文章を分析する際には、他の二、三人の書き手の文章も同時に読み比べてみることにしている。
すると、その二、三人の文章の中に混じった「2」本人の文章が、やはりどこか他とは異なる独自性を持っていることに気づくものだ。