JLPT N2 – Reading Exercise 04
新しいスキルを身につけようとするとき、多くの人は「自分にできるだろうか」と不安を感じるものだ。例えば、楽器の演奏や新しい言語の習得に挑戦していると、頭の中で次のようなことを考えてしまう。
このやり方で合っているのだろうか。
自分の演奏は下手すぎるのではないか。
このフレーズが本当に伝わるのだろうか。
こうした思いがしきりに(注1)頭をよぎり、少しプレッシャーになることもある。そのため、スキル習得が苦手だと感じてしまう人も少なくないだろう。
しかし、逆に言えば、そこにこそスキルを学ぶ面白さがある。つまり、そうしたプレッシャーを感じながらも、何とかして課題を乗り越え、できるようになる過程が楽しいのだ。パズルゲームが面白いのと同じ理屈(りくつ)(注2)である。あれは、簡単には解けない難問を攻略(こうりゃく)する(注3)ために、いろいろと工夫しながら(注4)、一つずつ問題を解決していくところが魅力なのだ。難しいからこそ、できたときの喜びが大きいのである。
スキルを学ぶのも、(1)同じことである。「これでいいのかな」と一抹(いちまつ)の(注5)不安を抱えつつ、試行錯誤しながら進めていくこと自体を楽しむ必要がある。
別の言い方をすれば、新しいスキルは学ぶ人に「もっと上手になってほしい」と要求してくる存在だ。なぜなら、スキルとは本来、人と人とをつなげたり、何かを表現したりするための手段だからである。例外は、自分だけが理解できればよいメモや、誰にも見せない記録だけだ。
それ以外のスキルは、必ず、学ぶ人以外に、(2)受け取る人がいて初めて完成するものだ。そして、学んだことが相手にしっかり伝わってこそ、そのスキルは本当の意味を持つのである。
(注1)しきりに:何度も
(注2)理屈:ここでは、考え方
(注3)攻略(こうりゃく)する:うまく解決する
(注4)工夫しながら:いろいろ考えながら
(注5)一抹の:ほんの少しの