JLPT N2 – Reading Exercise 43
プロジェクトの進行状況に関する認識は、開発側と顧客側で大きく異なります。開発側は順調だと感じていても、顧客側は期待値とのずれから進捗が遅いと感じることがあります。例えば、開発側が「順調に進捗している」と報告しても、顧客側は「遅れている」と感じる。この認識のずれは、最終的な評価において大きな隔たりを生む可能性があります。この点を十分に理解した上で、進捗報告を行わないと、[1]顧客の不満を招くことになりかねません。
本来、日本のビジネス文化においては、期限厳守がきわめて重視されます。製品の納期やサービスの提供開始日などにも、その意識が強く反映されています。しかし、その一方で、プロジェクトの進捗に関する報告には、きわめて曖昧な表現が多用されがちです。「近日中に完了します」「後ほど詳細を共有します」「まもなく最終調整に入ります」「少々時間を要します」といった言い回しは、日常的に頻繁に用いられています。
実際に、顧客対応の中で「[2]後ほどこちらから詳細を共有いたします」と伝えた複数の担当者に、「『後ほど』とは具体的にどのくらいの期間を指しますか?」と尋ねたことがあります。驚くべきことに、その回答は多岐にわたります。数時間以内、翌営業日まで、今週中、最大で来週末までと答える者もいます。
そして、「後ほど」と伝えられた顧客側も、「詳細の共有はいつ頃になりますか」と具体的に確認するケースは皆無に等しいのです。「承知いたしました、よろしくおねがいいたします」で会話が終わってしまうのだから、報告する側が[3]それだけ解釈に幅があるのですから、受け取る側の顧客がどの程度の期間と理解したかによって、期待値は大きく異なるでしょう。「後ほど共有すると言っていたので待っていたのに、一向に連絡が来ないではないか」と、苦情につながった事例も発生しています。
もちろん、具体的な期日や進捗を明確に伝える担当者もいます。[4]進捗のメドが立たない時に、「後ほど」という曖昧で便利な言葉を使ってしまうのでしょう。しかし、メドが立たない場合でも、「現在、担当部署で最終確認中のため、具体的な共有時期を明確にお伝えできかねます。恐れ入ります」と、はっきりと言えない理由を言葉で伝えるべきです。
また、メドが立つ場合でも、例えば「3日後に完了予定」と思ったら「1週間以内には完了する見込みです」、「今週末までに」と思ったら「来週の初めまでには」というように、[5]余裕を持たせた期間を伝えるべきです。
人間の心理として、「3日後に完了」と言われても、2日目あたりから顧客は期待し始めます。3日目に正確に完了報告ができたとしても、それほど大きな満足感は得られません。それが「1週間以内には」と伝えておけば、3日目に完了報告が来れば「早く対応してくれたな」と感じ、顧客は満足するものです。