JLPT N2 – Reading Exercise 84
人は誰かが笑っているのを見ると、つい自分も笑顔になってしまうことがある。これは単なる偶然ではない。実は、私たちの脳には「ミラーニューロン」と呼ばれる特別な神経細胞が存在し、他人の表情や動作を見たときに、自分の脳内でも同じような反応が起こることがわかっている。
「1」この仕組みは非常に複雑である。たとえば、目の前の人が微笑むと、その表情を視覚でとらえた私たちの脳が、無意識のうちに自分の顔の筋肉を動かすよう指令を出す。大人なら鏡で自分の表情を確認できるが、生まれたばかりの赤ん坊にはそれはできない。
「2」最近の神経科学の研究によれば、人は生まれつき他者の感情や行動を模倣する能力を持っていることが示されている。たとえば、誰かが悲しそうな顔をしているのを見ると、見ている人の脳内でも同じ感情を感じる部分が活性化するという実験結果がある。
まず、被験者の前で笑顔と無表情の映像を見せ、そのときの脳活動を調べる。すると、笑顔の映像を見たとき、被験者の脳のミラーニューロンが活発に働き、自然と口元が緩むことが観察された。
人間社会では、表情や感情の共有が重要なコミュニケーションの手段であるため、他者の感情を素早く読み取り、共感し、模倣する能力を生まれながらに持っているのだろう。「___3___」、こうした社会的な本能は、幼い頃から脳に深く刻み込まれていく。
ミラーニューロン:他者の行動や感情を見たとき、自分の脳内でも同じような活動をする神経細胞
模倣(もほう):まねをすること
活性化(かっせいか):活動が活発になること
刻み込む:しっかりと記憶する