日本新聞: 航空会社の欧州便一部で運航も苦慮ロシア上空避けルート変更

航空こうくう会社かいしゃの欧州おうしゅう便びん一部いちぶで運航うんこうも苦慮くりょロシア上空じょうくう避さけルート変更へんこう

Apr 2, 2022 19:04 4

Furigana

ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを受うけ、航空こうくう各社かくしゃは飛行ひこうが制限せいげんされているロシア上空じょうくうを避さけ大おおきくう回うかいするルートでヨーロッパ便びんを運航うんこうしています。

通常つうじょうより運航うんこう時間じかんが長ながくなり燃料ねんりょう費ひもかさむなどしていて、事態じたいが長引ながびけば気軽きがるにヨーロッパを行き来いききできなくなるという懸念けねんも出でています。

ロシア上空じょうくう避さけるルートで一部いちぶを運航うんこう日本にっぽんの航空こうくう会社かいしゃ

ロシアのウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこう後ご、ヨーロッパの航空こうくう会社かいしゃはロシア上空じょうくうの飛行ひこうを制限せいげんされ、日本にっぽんの航空こうくう各社かくしゃもリスクを避さけるために飛行ひこうを取とりやめています。

影響えいきょうを受うけたのが、ロシア上空じょうくうがルートとなるヨーロッパ各国かっこくを結むすぶ便びんです。

当初とうしょは全便ぜんびんが欠航けっこうするなどしましたが、日本にっぽんの航空こうくう各社かくしゃは少すこしでも路線ろせんを確保かくほしようと、ロシア上空じょうくうを避さけるルートで一部いちぶの運航うんこうを始はじめました。

日本にっぽん航空こうくうアラスカアンカレジ経由けいゆの北回きたまわりルート復活ふっかつ

このうち日本にっぽん航空こうくうは、アラスカのアンカレジなどの上空じょうくうを通過つうかする「北回きたまわりルート」でロンドン行いきやフィンランドのヘルシンキ行いきの便びんを運航うんこうしています。

同おなじく当時とうじのソビエト上空じょうくうを飛行ひこうできなかった冷戦れいせん時代じだい、アンカレジはヨーロッパ便びんを運航うんこうする上うえで重要じゅうような拠点きょてんとして支店してんを設もうけ、1991年ねんまで旅客りょかく便びんを、2010年ねんまで貨物かもつ便びんを運航うんこうしていました。

旅客りょかく便びんでは30年ねんぶりに復活ふっかつした不慣ふなれなルートのため、運航うんこう計画けいかくを作つくる部署ぶしょでは、通常つうじょうは30分ふんほどで済すむ作業さぎょうを4、5時間じかんかけて行おこなうこともあり、火山かざんの噴煙ふんえんなどの災害さいがいリスクや軍事ぐんじ演習えんしゅうが行おこなわれるエリアなど、地域ちいき特有とくゆうの事情じじょうを把握はあくして慎重しんちょうに計画けいかくを立たてています。

また、運航うんこう前まえにはパイロットたちが集あつまり、航路こうろ図ずを見みながら、ルート上じょうの気象きしょう状況じょうきょうや緊急きんきゅう着陸ちゃくりくする場合ばあいに利用りようすることになる各国かっこくの空港くうこうの特徴とくちょうなどを確認かくにんしていました。

日本にっぽん航空こうくうの瀬川せかわ清司せいじ機長きちょうは「今いままでにない飛とび方かたになるので、みんなの経験けいけんと知恵ちえを合あわせ、チームワークをよくして安全あんぜん運航うんこうを全まっとうしたい」と話はなしています。

全日空ぜんにっくうは中央アジアちゅうおうあじあルート飛行ひこう時間じかん増ぞうで乗員じょういんの人ひと繰くりに苦労くろう

一方いっぽう、全日空ぜんにっくうは、トルコの上空じょうくうなどを通過つうかする「中央アジアちゅうおうあじあルート」で、ドイツのフランクフルト行いきの便びんと、ベルギーのブリュッセル行いきの便びんを運航うんこうしています。

ロシア上空じょうくうを通過つうかする通常つうじょうのルートと比くらべて運航うんこう時間じかんが最大さいだいで4時間じかん近ちかく長ながくなることから、乗務じょうむ時間じかんの制限せいげんがあるパイロットの人数にんずうを3人にんから4人にんに増ふやしています。

しかもパイロットは、機種きしゅごとに操縦そうじゅう資格しかくが要いるなど、誰だれでもよいという訳わけにはいかず、シフトを作つくる部署ぶしょでは対応たいおうに追おわれています。

この日ひは、5日にち後ごのフランクフルト行いきの便びんに追加ついかで乗務じょうむできる人ひとを探さがし、カナダ・バンクーバー行いきの便びんに乗務じょうむする予定よていだったパイロットに急きゅうきょ変更へんこうをお願おねがいし承諾しょうだくをもらっていました。

全日空ぜんにっくうの山やま邉芳恵よしえさんは「3月つきの勤務きんむはほぼ作り直つくりなおしになりました。調整ちょうせいに苦労くろうしますが、運航うんこうを守まもるためにクルーを探さがしてシフト作づくりをやりきるしかないです」と話はなしていました。

ヨーロッパが遠とおくなる燃料ねんりょう費ひもかさみ長引ながびけば運賃うんちん値上ねあげも

日本にっぽんの航空こうくう各社かくしゃが運航うんこうするヨーロッパ便びんは現在げんざい4路線ろせん。

以前いぜんの8路線ろせんから半減はんげんしています。

運航うんこう時間じかんが大幅おおはばに延のび、パイロットの体調たいちょう管理かんり上じょう、困難こんなんだとしてフランス・パリ行いきの旅客りょかく便びんなどの運航うんこうは再開さいかいできていません。

さらに、全日空ぜんにっくうや日本にっぽん航空こうくうの関係かんけい者しゃによりますと、運航うんこう距離きょりが延のびたことでかさむ燃料ねんりょう費ひの問題もんだいも深刻しんこくで、今いまのところ各社かくしゃは運賃うんちんを据え置すえおいていますが、事態じたいが長引ながびけば、値上ねあげも検討けんとうせざるをえないということです。

今後こんご、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいが収束しゅうそくに向むかい各国かっこくとの往来おうらいの規制きせいが緩和かんわされた場合ばあいでも、気軽きがるにヨーロッパを行き来いききできなくなるという懸念けねんも出でていて、各社かくしゃは少すこしでも燃料ねんりょうを節約せつやくしようと追い風おいかぜに乗のりやすいルートの開拓かいたくなどを進すすめています。