
そして、3月の生鮮食品を除いた指数を都市別にまとめてみると…
それでは携帯電話の料金プランを変えていない人の物価の実感はどうなっているのか。NHKは携帯電話料金の影響を除いた地図を独自に作成しました。 (東京は1.08ポイント、その他の地域は1.42ポイントをそれぞれ指数に足しました)。
日々の家計を管理するため、石井さんはスマートフォンの家計簿アプリを使って毎月の支出を「見える化」しています。 特に、支出の増加が目立つのが、電気・ガスの「光熱費」や自家用車の「ガソリン代」です。
それが、ことし3月には1万8000円を超え、1か月の負担が6000円以上も増えています。
以前は4000円から5000円程度だったので、1000円以上の増加です。
日頃買っているトイレットペーパーや洗剤などが値上がりしたほか、子どもがいるために頻繁に使っていた玉ねぎとじゃがいもが目に見えて値上がりしたといいます。 しかし、石井さんは毎月の食費は一定の金額に抑えると決めているため、これまではその日に必要な食材を買い物していたのを週に2回のまとめ買いをするようにしたり、献立の品数を減らしたりしているといいます。 また、肉や野菜など食材によって安いスーパーを探して、今は3つのスーパーを使い分けています。 石井さんの家庭では、3人の子どもにそれぞれサッカーやスイミングスクールなどの習い事をさせていますが、教育費は削りたくないため、石井さんはことしに入って専業主婦から12年ぶりに仕事を再開しました。 在宅での勤務が基本の仕事で、子育ての空いた時間を活用し、収入の足しにしていくといいます。
東京・葛飾区で70年以上続く老舗の豆腐店では、国産の大豆を使った豆腐や油揚げ、がんもどきなどを店頭やインターネットで製造・販売しています。
また、商品の容器も原油高騰の影響を受け、3月、1割ほど値上がりしたということです。 このため店では4月1日、すべての商品を10円から20円値上げしたということです。
がんもどきや厚揚げを揚げる際に使う米油は、すでに4月、一斗缶=16.5キログラム当たりおよそ700円値上がりしていましたが、先週になって、さらにおよそ500円、5月値上げされると伝えられたということです。 そのうえ、豆腐や油揚げなどの製造工程、それに商品を保存する冷蔵庫まですべて電気でまかっており、電気料金の上昇も経営を圧迫しているということです。 家族3人で経営しているこの店では、さらなる商品の値上げは消費者が離れてしまうと考え、当面値上げはせず、自分たちの収入を減らして対応しようと考えています。 しかし、これまで店頭などに買いに来ていた飲食店は、新型コロナの影響で20前後から2店舗にまで減り、この店の去年の売り上げは3年前と比べ、4割近く減っているということです。
各国の3月の消費者物価指数は、去年の同じ月と比べて、アメリカで8.5%、ドイツで7.3%、イギリスで7%上昇していて、日本をはるかに上回っています。 新型コロナで低迷した需要が急激に回復したことや、それに伴う人手不足、ウクライナ侵攻をきっかけにした供給不安など、さまざまな要因が重なっていて、世界中で記録的なインフレに拍車がかかっています。 ただ、日本でも企業の間で取り引きされるモノの価格を示す企業物価指数の上昇率は、3月に9.5%と記録的な伸びとなっていて、今後、企業が商品価格への転嫁を進めれば、物価はさらに押し上げられることになります。
民間の信用調査会社、帝国データバンクが4月に実施した調査では、1年以内に値上げを予定している食品や飲料のメーカーは7割を超えました。 さらに、夏場の電気代は今の原油価格が反映されるため、冷房需要でエネルギー消費が増える時期に電気代がかさむことは避けられそうにありません。 物価上昇の家計への負担は今後も増える一方になりそうです。
実は各地ですでに…
物価上昇が家計を直撃 今後に懸念の声も
食料品・日用品も値上げ 仕事を再開することに
原材料価格・電気料金の上昇に苦しむ豆腐店は
国産大豆約1割高 容器も1割ほど値上がり
米油の値上げ 電気料金の上昇で経営を圧迫
それでも日本は低水準 世界で加速するインフレ
急速な円安も影響 家計負担は増す一方か