カナダ東部ケベック州のシャルルボワで開かれていたG7=主要7か国の外相会合は、14日閉幕し、議論の成果をまとめた共同声明を発表しました。
声明では、ウクライナの領土の一体性や主権、独立を守るためにウクライナへの揺るぎない支持を確認し、ウクライナが30日間の停戦を受け入れる用意があると表明した今月11日のアメリカとの協議を歓迎するとしています。
そのうえで、ロシアに対して停戦に応じ、それを完全に履行するよう求めています。
一方で、ロシアが停戦に応じなかった場合、ロシアに対しさらなる制裁を科すことや、ウクライナへの追加の支援を行うことについても議論したとしていて、ロシアに圧力をかける姿勢も示しました。
また、声明では、いかなる停戦も守られるべきだとしたうえで、侵攻が再び起きることを防ぐために、ウクライナには強固で信頼できる安全保障が必要だとしています。
一方で、ロシアに向けては、北朝鮮やイランが軍事支援を行っているほか、中国が武器や軍事転用が可能な物資を提供しているとして非難しています。
ロシアに対してヨーロッパ各国はこれまで、ウクライナ侵攻を「侵略だ」などとして非難していますが、トランプ政権は、ロシアを交渉のテーブルに着かせることを優先し、ロシアに敵対的な文言を共同声明に入れるべきではないという考えを示していて、今回の声明にはロシアを厳しく非難する文言は含まれていません。
ただ、G7各国は先月24日にウクライナ情勢をめぐってオンラインの首脳会合を開いた際には、共同声明の発表を見送っていただけに、今回の会合では、共同声明をとりまとめることで、G7としての結束を保った形です。
アメリカ国務長官「強力な声明を出すことできた」
外相会合を終えたアメリカのルビオ国務長官は14日、記者団に対し「強力な声明を出すことができた。われわれは満足している」と述べました。
ウクライナ情勢をめぐり、共同声明の中で、ロシアが停戦に応じなかった場合、制裁を科すことも議論したとしていることについて、ルビオ長官は「アメリカには制裁の選択肢があるが、トランプ大統領はいますぐに科したいとは思っていない。なぜなら、停戦に向けた協議の場に双方を引き寄せることを期待しているからだ」と述べました。
また、ウクライナに強固で信頼できる安全保障が必要だとしていることについては「今後の議論だ」として、まずは停戦の実現を目指す考えを強調しました。
イタリア外相「きょう最も重要なメッセージはG7の団結」
G7外相会合に出席していたイタリアのタヤーニ外相は14日、記者団に対して「きょう最も重要なメッセージはG7の団結だ。われわれは最も重要な問題にともに対応していくことになる。それはウクライナにおける公正な平和だ」と述べ、ウクライナ情勢をめぐりG7として足並みをそろえて対応にあたりたい考えを強調しました。