日本新聞: 定義あいまい“かかりつけ” ワクチン接種予約で困惑兵庫

定義ていぎあいまい“かかりつけ” ワクチン接種せっしゅ予約よやくで困惑こんわく兵庫ひょうご

May 16, 2021 16:05

Furigana

新型しんがたコロナウイルスのワクチンの接種せっしゅの予約よやくは兵庫ひょうご県内けんないでは「かかりつけ」の医療いりょう機関きかんでも受け付うけつけが始はじまっています。しかし、「かかりつけ」の定義ていぎがあいまいなため、医療いりょう機関きかんに予約よやくを受け付うけつけてもらえないケースも出でています。

尼崎あまがさき市しでは、新型しんがたコロナウイルスのワクチンの接種せっしゅを希望きぼうする65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃには、「かかりつけ」の医療いりょう機関きかんが接種せっしゅを行おこなっていれば、まずはそこで予約よやくするよう呼よびかけています。

しかし「かかりつけ」の定義ていぎがあいまいなため、高齢こうれい者しゃは「かかりつけ」だと考かんがえていても最後さいごの受診じゅしん日びから一定いってい期間きかん経過けいかしていることなどで医療いりょう機関きかん側がわが「かかりつけ」にはあたらないと判断はんだんして、予約よやくを受け付うけつけないケースがあることがわかりました。

こうした状況じょうきょうに尼崎あまがさき市しは新規しんきの人ひとも受け付うけつけている医療いりょう機関きかんを同意どういが得えられしだい、公表こうひょうする方向ほうこうで検討けんとうを進すすめています。

尼崎あまがさき市しの榎並えなみ隆たかし喜き担当たんとう課長かちょうは、「市民しみんや医療いりょう機関きかんに対にたいして、情報じょうほう提供ていきょうが十分じゅうぶんではなく責任せきにんを感かんじている。これからも『かかりつけ』の表現ひょうげんを変かえるつもりはないが、改善かいぜんは進すすめたい」と話はなしています。

想定そうてい外がいの事態じたいも

尼崎あまがさき市しでは今月こんげつ10日にちから65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃおよそ13万まん人にんを対象たいしょうに新型しんがたコロナウイルスワクチンの接種せっしゅの予約よやくの受け付うけつけが始はじまっています。

希望きぼうする人ひとには「かかりつけ」の医療いりょう機関きかんが接種せっしゅをしている場合ばあいには受診じゅしんした際さいに予約よやくするよう呼よびかけ、一方いっぽう「かかりつけ」がない人ひとや、定期ていき的てきに医療いりょう機関きかんを受診じゅしんしていない人ひとは、集団しゅうだん接種せっしゅを受うけてもらうことにしています。

しかし、高齢こうれい者しゃが「かかりつけ」だと思おもっていても医療いりょう機関きかんがそう思おもっていないケースや、市しの境さかいに住すむなどして「かかりつけ」が隣接りんせつする自治体じちたいにあるケースなど市しが想定そうていしていなかった事態じたいも生しょうじています。

「かかりつけ」日本にっぽん医師いし会かいの定義ていぎは

日本にっぽん医師いし会かいでは、「かかりつけ医い」は「なんでも相談そうだんできるうえ、最新さいしんの医療いりょう情報じょうほうを熟知じゅくちして、必要ひつようなときには専門医せんもんい、専門せんもん医療いりょう機関きかんを紹介しょうかいでき、身近みぢかで頼たよりになる地域ちいき医療いりょう、保健ほけん、福祉ふくしを担になう総合そうごう的てきな能力のうりょくを有ゆうする医師いし」と定義ていぎしています。

しかし受診じゅしんの頻度ひんどや回数かいすう、最後さいごに受診じゅしんしてからの期間きかんなどの定さだめはなく、どういう場合ばあいに「かかりつけ」にあたるのか明確めいかくな基準きじゅんはないとしています。

予約よやくを断ことわられた女性じょせいは

ワクチンの個別こべつ接種せっしゅを希望きぼうした尼崎あまがさき市しの78歳さいの女性じょせいは自分じぶんでは「かかりつけ」と考かんがえた医療いりょう機関きかんに予約よやくを拒こばまれ、戸惑とまどうことになりました。

女性じょせいは尼崎あまがさき市しが設定せっていしている集団しゅうだん接種せっしゅの会場かいじょうが遠とおかったことから近所きんじょの医療いりょう機関きかんで個別こべつ接種せっしゅを受うけることを希望きぼうしました。

市しは個別こべつ接種せっしゅの場合ばあいは「かかりつけ」にまずは相談そうだんするよう呼よびかけています。

女性じょせいはこの1年間ねんかん、2か月かげつに1回かいくらいのペースで、受診じゅしんしていた近ちかくの医院いいんが「かかりつけ」にあたると考かんがえましたが、そこは最近さいきんになって閉院へいいんしていました。このため、2年ねんほど前まえまで月つき1回かい程度ていど、通とおっていた別べつの医院いいんが、「かかりつけ」に近ちかいのではと考かんがえて、今月こんげつ10日にち、問い合といあわせをしました。

しかし、この医院いいんの担当たんとう者しゃから「あなたは、かかりつけの患者かんじゃではないので対応たいおうできない」と予約よやくを拒こばまれたということです。

ほかにあてがなく困こまっていたところ、親族しんぞくから「新規しんきの人ひとでも予約よやくができる医院いいんがある」という話はなしを聞きき、一いち度ども訪おとずれたことがない医院いいんでしたが、問い合といあわせてみると、予約よやくできたということです。

女性じょせいは「『かかりつけ』と言いわれるとどのくらいの頻度ひんどで利用りようする医療いりょう機関きかんならよいのか分わからない。受け入うけいれ側がわの事情じじょうもあると思おもうが、高齢こうれい者しゃはただでさえ不安ふあんなので、自分じぶんがどの医療いりょう機関きかんでワクチン接種せっしゅができるのか事前じぜんに知しらせてほしいと思おもう」と話はなしていました。