Japanese News: 融資の元本返済始まる中小企業も…新年度迎えるも回復見通せず

融資ゆうしの元本がんぽん返済へんさい始はじまる中小ちゅうしょう企業きぎょうも…新しん年度ねんど迎むかえるも回復かいふく見通みとおせず

Apr 1, 2021 16:04

Furigana

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうの長期ちょうき化かで、多おおくの中小ちゅうしょう企業きぎょうにとっては新しん年度ねんどを迎むかえても売り上うりあげの回復かいふくが見通みとおしにくい状況じょうきょうが続つづいています。中なかには、去年きょねん、運転うんてん資金しきんとして借かりた融資ゆうしの元本がんぽんの返済へんさいが始はじまるところもあり、経営けいえい者しゃからは不安ふあんの声こえも聞きかれます。

東京とうきょう・浅草あさくさの永森ながもり啓史ひろしさん（74）は、50年ねん余あまり前まえの明治めいじ3年ねんから続つづく祭まつり用品ようひん販売はんばい店てんの5代目だいめ社長しゃちょうです。

藍あい染ぞめの「はんてん」など、こだわりのオリジナル商品しょうひんは、地元じもとの祭まつりに携たずさわる人ひとたちだけでなく、外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃにも高たかい人気にんきがありました。

しかし、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、全体ぜんたいの4割わりを占しめていた外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃ向むけの売り上うりあげはほぼなくなりました。

祭まつりも中止ちゅうしが相次あいつぎ、客きゃくからの注文ちゅうもんを記録きろくするノートは空白くうはくが目立めだちます。店みせの近ちかくの倉庫そうこには、冬物ふゆものの衣装いしょうの在庫ざいこがまだ多おおく残のこっていました。

永森ながもりさんは、去年きょねん7月つき、光熱こうねつ費ひや税金ぜいきんの支払しはらいなどに充あてるための資金しきんとして、信用金庫しんようきんこから実質じっしつ無む利子りし・無む担保たんぽの融資ゆうしを受うけました。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうはそう長ながく続つづかないと予想よそうし、元本がんぽん返済へんさいの据え置すえおき期間きかんは1年ねんとしました。

しかし、依然いぜんとして売り上うりあげは感染かんせん拡大かくだい前まえの半分はんぶん以下いかにとどまったままで、新しん年度ねんどに入はいっても回復かいふくが見通みとおせない中なか、3か月かげつ後ごには返済へんさいが始はじまります。店みせの経営けいえいを維持いじする上うえで、負担ふたんは決けっして小ちいさくありません。

永森ながもりさんは「当初とうしょの見込みこみが甘うまかったと言いわれるとそれまでですが、コロナの影響えいきょうがまさか1年ねん以上いじょう続つづくとは思おもっていませんでした。売り上うりあげが入はいってこないと、返済へんさいはかなり厳きびしいです。いつになったら『出口でぐち』が見みえるのか、悲かなしくなってきます」と話はなしていました。

据え置すえおき期間きかん「1年ねん以内いない」が過か半数はんすう

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうによりますと、ことし1月つき末まつまでに実質じっしつ無む利子りし・無む担保たんぽの融資ゆうしを受うけることが決きまった中小ちゅうしょう企業きぎょうや個人こじん事業じぎょう主ぬしのうち、元本がんぽん返済へんさいの据え置すえおき期間きかんを1年ねん以内いないに設定せっていしたのは、政府せいふ系けい金融きんゆう機関きかんの日本にっぽん政策せいさく金融きんゆう公庫こうこで66％、民間みんかんの金融きんゆう機関きかんで57％に上のぼるということです。

この融資ゆうしは、政府せいふ系けい金融きんゆう機関きかんが去年きょねん3月つきに、民間みんかんの金融きんゆう機関きかんが去年きょねん5月つきに始はじめました。

新しん年度ねんどに元本がんぽんの返済へんさいが始はじまる企業きぎょうが多おおいとみられることから、金融きんゆう庁ちょうは、各かく金融きんゆう機関きかんに対にたいし、返済へんさい開始かいし時期じきの先さき延のばしなど、顧客こきゃくからの要望ようぼうに柔軟じゅうなんに応おうじるよう求もとめています。

中小ちゅうしょう企業庁きぎょうちょうも、新あらたな事業じぎょうや業態ぎょうたいの転換てんかんなどに取り組とりくむ中小ちゅうしょう企業きぎょうを支援しえんするため、「事業じぎょう再さい構築こうちく補助ほじょ金きん」を設もうけており、4月つき15日にちから申請しんせいの受け付うけつけを始はじめる予定よていです。

信金しんきんは取引とりひき先さき企業きぎょうを支援しえん

借金しゃっきんを増ふやした中小ちゅうしょう企業きぎょうの支援しえんに力ちからを入いれているのが、地域ちいき密着みっちゃく型がたの信用金庫しんようきんこです。

横浜よこはま市しの「横浜よこはま信用金庫しんようきんこ」では、実質じっしつ無む利子りし・無む担保たんぽ融資ゆうしを受うけた取引とりひき先さき企業きぎょうのうち、7割わり程度ていどが元本がんぽん返済へんさいの据え置すえおき期間きかんを1年ねんに設定せっていしました。

年度ねんど末まつにあたる3月つきは返済へんさいを先さき延のばしするために、いったん借金しゃっきんを返かえしてその分ぶんを新あらたに借り入かりいれる「借り換かりかえ」の申し込もうしこみが急増きゅうぞう。返済へんさい期限きげんの延長えんちょうなどの条件じょうけん変更へんこうも含ふくめ、なるべく柔軟じゅうなんに対応たいおうすることで、資金繰しきんぐりを支援しえんしています。

30日にち、信金しんきんの営業えいぎょう担当たんとう者しゃは、食器しょっきの製造せいぞう・販売はんばいを手てがける会社かいしゃを訪たずねました。

この会社かいしゃは、首都しゅと圏けんの1都と3県けんに出だされた緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの影響えいきょうもあって外食がいしょく向むけの食器しょっきの販売はんばいが振ふるわず、先月せんげつ、信金しんきんを通をつうじて借り換かりかえを行おこないました。

さらに年末ねんまつに向むけて注文ちゅうもんが増ふえることを見込みこんでいて、仕入しいれに必要ひつような資金しきんを確保かくほするため追加ついかの融資ゆうしを受うける方向ほうこうで、検討けんとうを進すすめています。

会社かいしゃの和わ高だか如勇いさむ社長しゃちょうは「なんとか危機ききを乗り越のりこえられるのではないかと思おもいます。力強ちからづよく支援しえんしてもらって、感謝かんしゃしています」と話はなしていました。

横浜よこはま信用金庫しんようきんこの野田のだ淳あつし嗣融資ゆうし部長ぶちょうは「お金おかねを出だしたままではなく、出だしたあとも悩なやみを一緒いっしょになって解決かいけつしていくことが信用金庫しんようきんこの役割やくわりだと思おもう。『運命うんめい共同きょうどう体たい』ということで一緒いっしょに汗あせをかき、共ともに地域ちいきで生いきていきたい」と話はなしていました。