
会談後に発表された「ワシントン宣言」では「北朝鮮の韓国への核攻撃には即時、圧倒的かつ決定的な対応を取ると再確認した。アメリカの核を含む戦力を総動員して拡大抑止を強化していく」などと、拡大抑止の強化で一致したとしています。
また両首脳は、核兵器をめぐる情報共有の枠組みを新たに設置することや、東西冷戦時代の1980年代以来となる、アメリカの戦略原子力潜水艦を韓国に寄港させることなどで合意しました。
韓国国内の一部で、アメリカの核抑止力への疑問の声も出ている中、そうした不安を払拭(ふっしょく)したいねらいもあるとみられますが、北朝鮮側の強い反発も予想されます。
このうち、日米韓3か国については「両首脳は共通の価値観にもとづいた協力関係の重要性を強調した」とした上で「バイデン大統領は日韓関係改善に向けたユン大統領の大胆な決断を歓迎した」としています。 バイデン大統領は会談前の歓迎セレモニーでも、「政治的な勇気のある日本との外交強化は日米韓3か国の関係強化に大きな役割を果たしている」と強く支持していました。 また、声明では中国を念頭に「両首脳は違法な海洋権益の主張や埋め立て地の軍事化、威圧的な行動を含め、インド太平洋地域におけるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対した」としています。 さらに台湾情勢について、「地域の安全保障と繁栄に不可欠な要素として、台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を再確認した」としています。 台湾情勢をめぐってはユン大統領が今月、ロイター通信とのインタビューで「力による現状変更には反対だ」と述べたことなどに中国側が強く反発しています。 ウクライナ情勢をめぐっては、韓国が殺傷能力の高い兵器は供与しないとする方針を転換するのか注目されましたが、「両国は重要なインフラ再建などのために必要不可欠な政治や安全保障、それに人道的、経済的な支援を続ける」とするにとどめています。
イ室長は、北朝鮮が従来の液体燃料式より迅速に発射できる固体燃料式のICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を行ったことについて「アメリカの立場では北の脅威が迫ってきていると受けとめるほかない。まだ発射実験の段階だが、これからさらに固体燃料式の多くの弾道ミサイルが開発され、射程や核弾頭の搭載量も増えていくだろう」との見方を示しました。 また、北朝鮮が過去にない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返していることについて「北が同時に大量に弾道ミサイルと巡航ミサイル、移動式と固定式、これらを複合的に使って奇襲効果を狙う方向に兵器システムを開発していると考えられ、過去に比べると非常に速いスピードだ」と懸念を示しました。 その上で「北の核の脅威が現実化し、だんだん高度化している。それを仮定して北が核兵器を使ったときに我々がどのように対応するとか、核兵器を使えなくするためにどんな能力を持つべきかといった議論が増えてくるだろう」と指摘しました。
共同声明に「日米韓3か国の関係強化」も
北朝鮮 核・ミサイル開発の現状 韓国の専門家は