マリオ作品に登場するアイテム「スーパースター」のバッジを襟に取り付けたあと、まず語ってくれたのがマリオ誕生の裏側でした。
“漫画家になりたかった工業デザイナー”として、ゲームを作り始めたそうです。 意外なことに、当初はマリオという名前はついていなかったといいます。
「幸い、ちゃんとしたキャラクターになりましたが、ひょっとしたらおまけのようなキャラクターのままで終わったかもしれませんね」
当時のゲームの技術ではその姿を詳細には表現しづらい中、個性や特徴にこだわって作り上げたといいます。
2021年には、大阪のテーマパークのUSJ=ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、マリオをテーマにしたエリアもオープン。
宮本さんが映画の共同プロデューサーを務めた、今回の作品。 アメリカなどで先行公開され、全世界で1168億円の興行収入を記録。好調な滑り出しを見せています。(今月24日時点) 日本でも28日から公開されます。 しかし、なぜあえて映画というコンテンツを選んだのでしょうか。
その中で宮本さんが一番こだわったのは、マリオを知っている人も知らない人も楽しめる作品にすることだったといいます。
「一方で、映画は、1時間半とか2時間とか見続けるわけですよ。映画はひたすら(製作者側が)語らないとダメ。そこを意識して、ゲームを知らない人に見てもらっても、楽しんでもらえるようにしています」
「ピーチは、ゲームでは分かりやすい『助けられるシンボル』でしたが、女性が社会で活躍するようになって長い時間がたっているので、映画では、戦う女性になっているし、クッパもただの悪役じゃなく、かわいいところもある。職場で部下からどんなふうに見られているのかというところもほしいじゃないですか。そういうところも足して作っていきました」
気になるのが、その未来です。 マリオをどう展開していくのか、宮本さんに聞いてみました。
「マリオはデジタルで生まれたので、デジタルの技術とともに進化していったらいいなと思っています。USJで言うと、AR(拡張現実)という技術に、アトラクションや建造物のテーマパークというのが組み合わされた。そういう意味では、また新しい技術が入ってきたとき、まずマリオを使ってみようというふうになるので、僕自身、どこへ行くか分からないんですよね」
「日本で売るかとか、過去にどんなものが売れたとか関係なく、『ここがおもしろいんですよね』という、自分の中にある、おもしろいものを一生懸命分かってもらうためにゲームや映画を作っていけば、それはおのずとグローバルに通じるので、肩に力を入れずに好きな物を作ったほうがいいと思うんです」
宮本さん自身も予測不能な次の展開の着地点はどこなのか、目が離せません。
ゲームからテーマパーク、そして映画へ
映画とゲームで違いも…
マリオはとても幸運な“子ども”
「おもしろい」を追求せよ!!
特徴のあるひげに、「M」のマークのついた赤い帽子、そして躍動感のあるジャンプ。
「マリオ」は、今や、世界中で愛される存在となりました。
キャラクターのデザインなどを手がけた「生みの親」である任天堂のゲームクリエイターの宮本茂さんがNHKのインタビューに応じました。
宮本さんに、時代を超えて活躍の場を広げるマリオとその未来について聞きました。
(京都放送局 記者 山崎麻未)
最初は名前がなかった…