大谷選手はシーズン終了後の先月1日、右ひじのじん帯を修復する手術を受けて、リハビリに取り組んでいます。
こうした中、ことし2月にアメリカに渡ってから初めて帰国した大谷選手は22日、都内の日本記者クラブで記者会見を行いました。
「いいシーズンだった」
この中で大谷選手は今シーズンを振り返り、「1シーズンを終えていろいろあったが、1年間充実してやることができた。いいシーズンだったなと思えるシーズンを送れたかなと思う」と話しました。
また右ひじを手術したことについて「ひじにメスを入れるのに抵抗はもちろんあった。入れない方がいいのかなと思っていたが、長期的に見たときに、不安なくマウンドで自分のパフォーマンスを出せるのが一番だと思ったのでそのために必要な手術をすることにした。手術後の経過はすごく順調で、およそ2か月たったが日常生活は特に不自由ない。最初の1か月は右手が使えず苦労したが、今はそれほど不自由はない。復帰に向かう過程でもそう思えるようリハビリしていきたい」と述べました。
「人間としてすばらしい選手が多い」
また、大谷選手は「2016年に『世界一の選手になりたい』と言っていたが、具体的にどういう数字を残せば世界一と考えるか」と問われると、「まだ1年目なので、現役を引退する頃にそうなるのではないのかと思う。自分がそう思うのか、周りが評価するのかわからないが、1年で見えるものではなく、そこに向かって頑張って行くことは変わらないが、5年、10年やって見えてくるものなのではないかなと思う」と答えました。
また、この1年間で学んだことについて、「上に行けば行くほど、人間としてすばらしい選手が多いなと感じる。日本でもアメリカでも関係なく雰囲気や接し方など見習うべきところが多いのではないかなと思う」と話していました。
さらに、「大リーグとプロ野球にどのくらい差があるかと言うことは行ってみないとわからないことも多い。文化も含めて違うし、レベルも技術も、スピードも、総合的に高いなと感じた」と述べました。
「術後のトレーニングは次のステップのため」
右ひじの手術後のトレーニングについては「順調に来ていると仮定して、今のメニューはランニングを含めた有酸素トレーニングや下半身、体幹、そして右腕を使わないトレーニングは出来る。右腕も軽い負荷のかかった抵抗運動はできる。継続的にやるのは、右ひじの曲げ伸ばし。実戦復帰には1週間、2週間のリハビリの進行具合によって全然変わってくる。今は次のステップに進めるようにやっていきたい」と述べました。
「新人王 記者やファンに感謝」
新人王を受賞したことについては「率直にうれしかった。中継でつながっていてリアルタイムで見ることができた。投票してくれた記者や応援してくれたファンに感謝している。同じリーグで1年間プレーしてすばらしい成績を残した選手がいる中で、受賞してうれしいと同時に、最終的な3人に選ばれた時点でうれしかった。そのくらいレベルの高いところでできてよかったなと思う。受賞したことでいろんな方から連絡が来てありがたいなと思った」と感想を述べました。
「印象に残った場面は初登板と初ホームラン」
このシーズンで最も印象に残った場面について、大谷選手は「ピッチャーとしては初登板の時は緊張してマウンドに上がったので、結果よりは、ゲーム自体が印象に残っている。バッターでは、初ホームランがホームで打てたのですごく印象に残り、うれしかった」と述べました。
結婚の予定「まったくもってない」
大谷選手は結婚の予定について聞かれると「まったくもってない」と述べました。また、何歳くらいで結婚したいかという質問に対しても「ないです」と少し笑いながら話しました。
日米野球の違い「いちばんは技術」
大谷選手は、日本とアメリカで野球の違いをどう感じたか聞かれ、「いちばんは技術かなと思う。フィジカルが違うのはもちろん見ていればわかるが、自分が考えていた以上に技術がある。自分が変わっていって、よりよい方向に変化しないとついていけない部分が出てくることを理解するのに時間がかかった。できるだけ自分のやり方でやっていきたかったので、その葛藤はすごくあった」と答えていました。
「東京五輪 出場してみたい」
東京オリンピックへの出場について、大谷選手は「もちろん、日本で開催されることにすごく興味を持っているし、出場してみたいなという気持ちがあるのは普通のことではないかなと思います」と述べました。
「マイク・トラウト選手から見習うところ多い」
大谷選手は、エンジェルスの印象と最も影響を受けた選手について聞かれ、「チームに入った第1印象はみんなすごくいい人、気さくな人が多く、向こうから話しかけてもらったり気を遣ってくれたりした。それは1年間全く変わらず、いいチームに入って野球ができてよかったなという感想を持っている。また、多くのスター選手がいて、みんなから刺激を受けたが、マイク・トラウト選手は球界を代表するトップの選手で、技術も人間性もすばらしい。見習うところも多い選手かなと思う」と話していました。
投手か打者か「今の時点で全く考えていない」
大リーグでの投打の二刀流を、ピッチャーかバッターのどちらかに絞る考えはあるかという質問について、大谷選手は「今の時点では全く考えていない。最終的に代打に専念する人もいれば、守備をメインにする人もいると思う。プロの生活をするうえで、そういう道に自然に入っていく人もいると思う。自然な流れの中でどちらかになる可能性があるかもしれないが、今の段階では全くない」と述べました。
打者復帰の時期「今の段階で特定できない」
大谷選手はバッターとしての復帰時期について、「1週間、2週間という単位でトレーナーや医師の方とミーティングして、次のステップでやっていこうとなる。スケジュールはあるが、個人差もあるし、手術後のリハビリによっても変わってくる。今の段階で特定はできないかなと思う」と話すにとどめました。
原動力は「野球好き」
野球を通して前に進む姿勢の原動力は何かと問われると、大谷選手は「野球を始めた頃からすごく野球が好きだったし、それは今になってもあまり変わらない。小さい頃は野球をするのが週に2回くらいだったが、次の週末になるのが楽しみでしかたがないという気持ちが今まで続いていると思う。毎日球場に行くのもグラウンドでプレーするのも楽しかったのでその延長線上ではないかなと思う」と話しました。
ベーブ・ルース選手「個人的には神話の中の人物」
大谷選手は、投打の二刀流で活躍したベーブ・ルース選手についての印象を聞かれ、「よく比較していただいているが、個人的には神話の中の人物だと思うので、今の自分の実力では意識することはない。比較されるようになって当時の成績がよく出てきて、すばらしい選手だと思う。自分の中では投手より打者の印象の方が強い。ホームランが出ない時代の中であれだけホームランを打っているのはとてつもない選手だったのではないか。時代を代表する選手という点では、自分が目指すところではないかなと思う」と話していました。
来季の目標「ポストシーズンに行きたい」
来シーズンの目標について問われると大谷選手は「みずからの数字ではないが、ポストシーズンに行きたいという思いは、この1年でより強くなっている」と述べました。