このうち最優秀賞のパルムドールを競うコンペティション部門に、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」がノミネートされました。
この作品は、妻を亡くして喪失感を抱える舞台俳優で演出家の男性が、自身の車を運転することになった専属ドライバーの女性と出会い、ともに過ごすうちに、それまで目を背け続けていた妻の秘密と向き合うことになる物語です。
作家の村上春樹さんが平成25年に発表した短編小説が原作で、主人公の役を西島秀俊さんが演じています。
濱口監督の作品がカンヌ映画祭のコンペティション部門にノミネートされるのは「寝ても覚めても」以来、3年ぶり2回目です。
カンヌ映画祭は、現地時間の来月6日から17日まで開かれ、最終日に最優秀賞が発表される予定です。
平成27年に公開された映画「ハッピーアワー」は、女性どうしの友情や夫婦関係の葛藤を描いた5時間を超える大作で、その年のスイスのロカルノ国際映画祭では、それまで演技の経験がなかった主演の女性4人が最優秀女優賞に選ばれて話題となりました。 去年、イタリアのベネチア国際映画祭で黒沢清監督が監督賞に選ばれた「スパイの妻」では、監督らと共同で脚本を担当したほか、ことしのベルリン国際映画祭では、監督を務めた「偶然と想像」が最高賞の金熊賞に次ぐ銀熊賞の審査員大賞に選ばれています。 濱口監督は「歴史あるこの映画祭で、多くの観客がこの映画と初めて出会うことを想像して湧き上がるような興奮を感じています。この映画に写った素晴らしい俳優たちの演技を、そこから世界に向けて示せることにワクワクします。未だコロナ禍の困難な状況下ではありますがカンヌの地を、ともにこの映画を作った仲間たちと踏むことができたらこの上なく幸せなことです。今は上映のその時を心待ちにするばかりです」とコメントしています。 今回ノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」は、上映時間が179分にのぼる長編で、ことしの8月20日から公開される予定です。
濱口監督「上映のその時を心待ちに」