Báo tiếng Nhật: 目の病気の「遺伝子治療」治験進む実用化されれば国内初に

目めの病気びょうきの「遺伝子いでんし治療ちりょう」治験ちけん進すすむ実用じつよう化かされれば国内こくない初はつに

Jul 11, 2021 19:07 1

Furigana

遺伝子いでんしの異常いじょうで起おこる重おもい目めの病気びょうきを、正常せいじょうな遺伝子いでんしを含ふくんだ特殊とくしゅなウイルスによって治療ちりょうする「遺伝子いでんし治療ちりょう」の治験ちけんが、東京とうきょう都内とないの医療いりょう機関きかんで進すすめられていて、今後こんご、実用じつよう化かされれば、目めの病気びょうきでは国内こくないで初はじめての遺伝子いでんし治療ちりょうになると期待きたいされています。

「遺伝いでん性せい網膜もうまくジストロフィー」の患者かんじゃを対象たいしょうに

この治験ちけんは製薬せいやく会社かいしゃのノバルティスファーマが東京とうきょう・目黒めぐろ区くの国立こくりつ病院びょういん機構きこう東京とうきょう医療いりょうセンターで行おこなっています。

治験ちけんは、「RPE65」という遺伝子いでんしの異常いじょうが原因げんいんで光ひかりを感かんじるのに必要ひつようなたんぱく質たんぱくしつが作つくられず、視力しりょくが低下ていかしたり、視野しやが欠かけたりする「遺伝いでん性せい網膜もうまくジストロフィー」という病気びょうきの患者かんじゃが対象たいしょうで、正常せいじょうなこの遺伝子いでんしを人体じんたいに無害むがいなウイルスに組み込くみこんで投与とうよします。

これまでに4歳さい以上いじょうの患者かんじゃ4人にんへの投与とうよを終おえたということです。

この治療ちりょう法ほうはすでにアメリカなど海外かいがいでは承認しょうにんされていて、会社かいしゃでは治験ちけんで安全あんぜん性せいや効果こうかが確認かくにんできれば、国くにに承認しょうにんを申請しんせいするということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、承認しょうにんされれば目めの病気びょうきの遺伝子いでんし治療ちりょうとしては国内こくないでは初はじめてとなります。

治験ちけんを担当たんとうする東京とうきょう医療いりょうセンター視覚しかく生理学せいりがく研究けんきゅう室しつの藤波ふじなみ芳かおる室長しつちょうは「不治の病ふじのやまいと言いわれてきた目めの遺伝いでん病びょうの初はじめての治療ちりょう法ほうとなりうる。実用じつよう化かが進すすめば、ほかの遺伝子いでんしの異常いじょうによる病気びょうきに対にたいしても、治療ちりょう法ほうが相次あいついで開発かいはつされると見込みこまれる」と話はなしています。

遺伝子いでんしの異常いじょうによる病気びょうきこれまで有効ゆうこうな治療ちりょう法ほうなく

「遺伝いでん性せい網膜もうまくジストロフィー」は、遺伝子いでんしの一部いちぶの異常いじょうによって目めの網膜もうまくの機能きのうが低下ていかし、視野しやが欠かけたり、視力しりょくが低下ていかするなどする病気びょうきの総称そうしょうです。

原因げんいんとなる遺伝いでん子こによって症状しょうじょうはさまざまなで、主あるじには、暗くらいところが徐々じょじょに見みえなくなり、視力しりょくが低下ていかする難病なんびょう「網膜もうまく色素しきそ変性へんせい症しょう」や、視野しやの中央ちゅうおうが見みえなくなる難病なんびょう「黄き斑むらジストロフィー」などがあります。

東京とうきょう医療いりょうセンターによりますと、国内こくないの患者かんじゃの数かずはあわせておよそ5万まん人にんと推定すいていされるということで、有効ゆうこうな治療ちりょう法ほうがないことから遺伝子いでんし治療ちりょうや再生さいせい医療いりょうなどの研究けんきゅうが進すすめられているということです。

原因げんいんとなる遺伝子いでんしはこれまでに300以上いじょう確認かくにんされていて、今回こんかいの治験ちけんではこのうち「RPE65」という遺伝子いでんしの異常いじょうが対象たいしょうとなっています。

「遺伝子いでんし治療ちりょう」欧米おうべい中心ちゅうしんに広ひろがり日本にっぽんでも

遺伝子いでんし治療ちりょうは、遺伝子いでんしの異常いじょうが原因げんいんで起おこる病気びょうきの患者かんじゃなどに正常せいじょうな遺伝子いでんしを補おぎなうなどして治療ちりょうするものです。

遺伝子いでんし治療ちりょうでよく使つかわれるのは無害むがい化かしたウイルスに遺伝子いでんしを組み込くみこみ、ウイルスごと投与とうよして体内たいないで必要ひつようなたんぱく質たんぱくしつを作り出つくりだす方法ほうほうですが、ほかにもさまざまな方法ほうほうが開発かいはつされています。

これまで治療ちりょう法ほうがなかった遺伝いでん性せいの病気びょうきにも効果こうかが期待きたいできることから最近さいきんになって欧米おうべいを中心ちゅうしんに相次あいついで承認しょうにんされています。

国内こくないでも、2年ねん前まえに足あしの一部いちぶがえ死しすることがある「重症じゅうしょう虚うろ血ち肢し」の治療ちりょう薬やく「コラテジェン」が国内こくない初はつの遺伝子いでんし治療ちりょうとして承認しょうにんされたほか、去年きょねん、全身ぜんしんの筋力きんりょくが低下ていかする難病なんびょう「脊髄せきずい性せい筋すじ萎縮いしゅく症しょう」の治療ちりょう薬やく「ゾルゲンスマ」が承認しょうにんされるなどしています。

がんの治療ちりょうにも応用おうようされていて、日本にっぽんでは2年ねん前まえには免疫めんえき細胞さいぼうに免疫めんえきを活性かっせい化かさせる遺伝子いでんしを入いれることでがんを治療ちりょうする「CAR－T細胞さいぼう療法りょうほう」が承認しょうにんされています。

このほか国内こくないで承認しょうにんされている新型しんがたコロナウイルスの3種類しゅるいのワクチンは、いずれもウイルスの遺伝子いでんしの一部いちぶを投与とうよし、体内たいないで抗体こうたいの目印めじるしとなる「スパイクたんぱく質たんぱくしつ」を作つくる仕組しくみとなっていて、遺伝子いでんし治療ちりょうの技術ぎじゅつが活用かつようされています。

専門せんもん家か「遺伝子いでんし治療ちりょうの研究けんきゅう日本にっぽんは周回しゅうかい遅おくれの状態じょうたい」

遺伝子いでんし治療ちりょうに詳くわしい自治じち医科いか大学だいがくの小澤おざわ敬たかし也名誉めいよ教授きょうじゅは、今回こんかいの治験ちけんについて「遺伝子いでんし治療ちりょうの技術ぎじゅつが進すすみ、今回こんかいの目めの病気びょうきのように生活せいかつの質しつを改善かいぜんする病気びょうきの治療ちりょうにも応用おうようされるようになってきた。特とくに目めの網膜もうまくの病気びょうきに対にたいする遺伝子いでんし治療ちりょうは薬くすりを局所きょくしょ的てきに投与とうよするだけで済すむため、患者かんじゃの負担ふたんがほかの病気びょうきと比くらべて小ちいさく、今後こんご、開発かいはつがさらに進すすむと期待きたいされる」と評価ひょうかしています。

一方いっぽうで、「遺伝子いでんし治療ちりょうの研究けんきゅう・開発かいはつは一いち時期じき、停滞ていたいしていたが、その間そのかんも欧米おうべいではベンチャー企業きぎょうが中心ちゅうしんになって開発かいはつを続つづけていたのに対にたいし、日本にっぽんの企業きぎょうは二の足にのあしを踏ふんでいた。日本にっぽんは海外かいがいと比くらべて若わかい研究けんきゅう者しゃが不足ふそくしていて基礎きそ研究けんきゅうでも周回しゅうかい遅おくれになっている状態じょうたいだ。今後こんご、国くにレベルで開発かいはつを後押あとおししていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。