宇宙のはるか
遠くで
極めて
密度の
高い
星、「
中性子星」が
合体する
現象を、
重力波の
観測によって
初めてとらえたと
欧米の
国際研究チームが
発表しました。
今回の
現象は、
重力波以外に、
光や
ガンマ線などでも
同時に
観測され、
今後、さまざまな
観測方法を
組み合わせることで
宇宙で
起きる
現象の
解明が
進むことが
期待されています。これは、
アメリカの
首都ワシントンで
現地時間の
16日午前、ことしの
ノーベル物理学賞の
対象となった
重力波の
初観測に
成功した、
国際研究チームなどが記者会見を
開いて
発表しました。
それによりますと、ことし8月17日、アメリカにある「LIGO(ライゴ)」とイタリアにある「VIRGO(バーゴ)」の2つの巨大な重力波観測施設で同時に、地球から1億3000万光年離れた場所から届いた重力波を観測しました。
波形から、半径が10キロ程度で質量が太陽と同じ程度と、極めて密度が高い2つの「中性子星」が合体するときに発生した重力波とわかったということです。
これを受けて、世界各地と宇宙にある70以上のさまざまな望遠鏡で重力波の発信源の方角から届く、光や赤外線などの観測を試みました。
その結果、観測データから、中性子星の合体によって金やプラチナといった鉄より重い元素ができたと推定され、研究チームは、これまで謎だった、重い元素の起源の解明につながるとしています。
また、重力波の観測とほぼ同時に、「ガンマ線バースト」と呼ばれる電磁波の一種のガンマ線が爆発的に放出される現象がNASA=アメリカ航空宇宙局などの宇宙望遠鏡で観測されました。
これまで、中性子星が合体するときには、「ガンマ線バースト」が起きると考えられてきましたが、実際に確認されたのは今回が初めてで、研究チームは理論が裏付けられたとしています。
観測チームのメンバーは「重力波の観測と従来の観測手法を組み合わせることで宇宙で起きる最も激しい現象を観測できた」と述べ、今後、これまで捉えるのが困難だった、宇宙で起きるさまざまな現象の解明が進むことが期待されています。
専門家「新しい天文学が可能に」
欧米の研究チームからの連絡を受け、中性子星の合体の様子をハワイの大型望遠鏡で観測した国立天文台の田中雅臣助教は「中性子星の合体が直接観測できたのは、歴史的な出来事だ。重力波によって全く新しい天文学が可能になったという印象だ。これまでどのように生成されたのかわかっていなかった金やプラチナ、ウランなどの重い元素が中性子星の合体の過程で合成されるデータが観測されており元素の起源解明に向けてこれから非常におもしろくなっていくと思う」と話していました。