飼育されているチンパンジーが道具を作成し利用する能力については、以前より広く知られている。
圈养的黑猩猩能够制造和使用工具的能力早已广为人知。
その代表的な事例として、1914年にケーラー(W. Köhler)によって実施された実験が挙げられる。
この実験では、チンパンジーの手の届かない柵の向こう側にバナナを置き、手の届く範囲には棒を設置した。
在这个实验中,香蕉被放在黑猩猩够不着的地方,也就是围栏的另一侧,而黑猩猩能够够到的范围内则放着一根棍子。
その結果、ほとんどのチンパンジーは棒を用いてバナナを引き寄せることができた。
さらに、棒がない場合には、木の枝を折って道具として利用する個体も観察されている。
此外,还观察到在没有棍子的情况下,有些个体会折断树枝作为工具使用。
中でもズルタンという名のチンパンジーは、太さの異なる中空の葦の茎でできた二本の棒を組み合わせることで、より効果的な道具を自作し、バナナを引き寄せることに成功したのである。
特别是名叫苏丹的黑猩猩,能够将两根直径不同的中空棒组合起来,自行制作出更有效的工具,并成功地把香蕉拉到自己身边。
また、別の実験では、滑りやすい壁で囲まれた部屋の隅に一辺約50センチメートルの木箱を置き、バナナを手の届かない高所に吊るした。
另外,在另一个实验中,一个边长约为50厘米的木箱被放在一个有光滑墙壁的房间角落里,手够不到的高处吊着香蕉。
ズルタンは、直接跳び上がっても届かないと判断すると、木箱を引き寄せ、その上に乗ってバナナを獲得した。
苏尔坦意识到即使跳起来也够不到香蕉,于是他把箱子拉过来,站在箱子上拿到了香蕉。
さらに高度な課題として、箱の数を増やし、それらを積み重ねなければ届かないようにすると、初めは困難を極めたものの、次第に解決できるようになった。
任务变得更加困难,需要堆叠多个箱子才能够到时,起初苏尔坦面临了许多困难,但逐渐能够解决这些问题了。
他のチンパンジーもこれを模倣し、グランデという個体は四つの箱を積み上げることに成功した。
其他黑猩猩也模仿了这一行为,其中名叫格兰德的个体成功地将四个箱子叠在了一起。
このように、積み上げられた箱は一種の建造物として、明確な目的のもとに作られたものであると言える。
因此,堆叠的箱子可以被视为一种具有明确目的而建造的结构。
さらに、箱の実験においては興味深い二つの現象が観察された。
第一に、箱一つでの課題に対して、実験者が予想しなかった独創的な解決策をチンパンジーが見出したことであり、これは臨機応変な対応能力を示している。
第二に、協同作業のように見える行動が現れた点である。
箱を積み上げる方法を理解している複数の個体が集まると、互いに競い合う形で箱を積もうとするが、その結果、箱が崩れてしまうことが多かった。
しかし一度だけ、離れた場所にあった大きな檻をグランデが動かそうとした際、ランとズルタンが加わり、三頭で協力して檻を目的のバナナの近くまで運ぶことに成功した。
ただし、ズルタンが先に檻に飛び乗り、バナナを獲得したため、他の二頭は何も得られなかった。
このことから、これは真の協同作業というよりも、グランデの意図を他の二頭が即座に理解し、それぞれが自己の利益のために行動した結果であると考えられる。