何なにがあった？東京とうきょう 国立こくりつ市し 引き渡ひきわたし直前ちょくぜんのマンション解体かいたいへ

なぜ、このような異例いれいの事態じたいになったのか？これまでの経緯けいいからみてみます。

国立こくりつ市中しちゅう2丁目ちょうめの分譲ぶんじょうマンション「グランドメゾン国立こくりつ富士見ふじみ通どおり」について建設けんせつした事業じぎょう者しゃの「積水ハウスせきすいはうす」は今月こんげつ4日にち、市しに対にたいし「建物たてものの周辺しゅうへんへの影響えいきょうに関にかんする検討けんとうが不十分ふじゅうぶんだった」として、事業じぎょうの中止ちゅうしと建物たてものの解体かいたいを届け出とどけでました。

JR国立こくりつ駅えきから歩あるいて10分ふんほどのところに建たつマンションは地上ちじょう10階かい建だてで、7000万まん円えんから8000万まん円えん台だい中心ちゅうしんの18戸こが販売はんばいされ、となりました。

マンション建設けんせつで“富士山ふじさんが…”

今回こんかい、マンションが建設けんせつされた「富士見ふじみ通どおり」。

マンションが建たつ前まえと建たった後のちの写真しゃしんです。

左側ひだりがわの2020年ねん11月つきは通とおりから富士山ふじさんが見みえていましたが、去年きょねん12月つきにはマンションがさえぎっているのがわかります。

計画けいかく公表こうひょう～着工ちゃっこうまでの経緯けいいは

▽2021年ねん2月つき：マンション建設けんせつ計画けいかく 公表こうひょう

▽2022年ねん11月つき：市しが事業じぎょう者しゃ側がわに建設けんせつを承認しょうにん

▽2023年ねん1月つき：着工ちゃっこう

市しなどによりますと、このマンションの建設けんせつ計画けいかくは3年ねん前まえの2021年ねん2月つきに公表こうひょうされ、翌年よくねんの2022年ねん11月つきには市しが事業じぎょう者しゃ側がわに建設けんせつを承認しょうにんし去年きょねん1月つきに着工ちゃっこうしました。

ただこの間このかん、計画けいかくの公表こうひょう直後ちょくごから周辺しゅうへん住民じゅうみんからは問題もんだいを指摘してきする声こえがあがっていました。

このため市しは、まちづくり条例じょうれいに基もとづく有識ゆうしき者しゃなどからなる審議しんぎ会かいに諮問しもん。審議しんぎ会かいからの答申とうしんを踏ふまえ、市しは事業じぎょう者しゃに対にたいし、建物たてもののボリューム感かんの低減ていげんなどについて住民じゅうみんへの丁寧ていねいな説明せつめいと理解りかいへの努力どりょくを求もとめる「指導しどう書しょ」を交付こうふします。

これを受うけ、事業じぎょう者しゃは2021年ねん9月つきからの住民じゅうみん説明せつめい会かいで建物たてものの高たかさを当初とうしょ計画けいかくの11階かいから10階かい建だてに変更へんこうする方針ほうしんを示しめしました。

しかし、住民じゅうみん側がわは、この変更へんこう案あんをもっても景観けいかんに多大ただいな影響えいきょうを及およぼすとして、さらに建物たてものを低ひくくするよう求もとめ、これに対にたいし、事業じぎょう者しゃ側がわは2022年ねん1月つきの住民じゅうみん説明せつめい会かいで「さらなる階数かいすうの低減ていげんには応おうじられない」などと回答かいとうしました。

着工ちゃっこうのあとも周辺しゅうへん住民じゅうみんは、計画けいかくの見直みなおしに向むけた対応たいおうを市しに求もとめる陳情ちんじょうを市議会しぎかいに提出ていしゅつするなどしてきました。

近隣きんりん住民じゅうみんからは さまざまな声こえが

マンションが解体かいたいされる見通みとおしとなったことについて、近ちかくの住民じゅうみんからは解体かいたいの判断はんだんを評価ひょうかする声こえや「そこまでする必要ひつようがあったのか」など、さまざまな声こえが聞きかれました。

70代だい 女性じょせい

「駅えきを降おりたら、通とおりから富士山ふじさんが見みえるのをすごく楽たのしみにしていました。それがなくなってさみしかったですが、また見みえるようになりそうだと聞きいて、うれしいです」

60代だい 男性だんせい

「富士山ふじさんが見みえないと気分きぶんが乗のらないという方ほうもいるのかもしれませんが、事業じぎょう者しゃがそこまでの判断はんだんをする必要ひつようがあったのかと思おもいます。富士山ふじさんが見みえにくくなっても生活せいかつするのに不便ふべんは感かんじません」

陳情ちんじょうを出だした関係かんけい者しゃ 「事業じぎょう者しゃ側がわから具体ぐたい的てきな説明せつめいを求もとめたい」

建設けんせつ計画けいかくの見直みなおしを求もとめる陳情ちんじょうを市議会しぎかいに提出ていしゅつした関係かんけい者しゃの1人にんは取材しゅざいに対にたいし、解体かいたいの見通みとおしとなったことについて「もう半なかば諦あきらめていたので、突然とつぜんの話はなしで驚おどろいている。事業じぎょう者しゃ側がわから計画けいかく中止ちゅうしに至いたった説明せつめいを受うけていないので、具体ぐたい的てきな説明せつめいを求もとめたい」と話はなしていました。

そのうえで「計画けいかくが中止ちゅうしされたからといって手放てばなしで喜よろこべる話はなしではなく、もっと早はやく判断はんだんできなかったのか複雑ふくざつな心境しんきょうだ。また今後こんご、別べつの事業じぎょう者しゃがマンションを建設けんせつする計画けいかくが持ち上もちあがったときに同おなじ問題もんだいが起おきないか懸念けねんしている」と話はなしていました。

積水ハウスせきすいはうす“金銭きんせん面めんの補償ほしょう含ふくめ できるかぎりの対応たいおう”

「積水ハウスせきすいはうす」によりますとマンションの事業じぎょう中止ちゅうしは今月こんげつ3日にちに決定けっていし、翌日よくじつに国立こくりつ市しに対にたいし、解体かいたいなどを届け出とどけでたということです。

理由りゆうについてはとしています。契約けいやく者しゃには事業じぎょう中止ちゅうしをすでに説明せつめいしたとして、今後こんごは契約けいやく者しゃの個別こべつの事情じじょうを踏ふまえ、金銭きんせん面めんの補償ほしょうを含ふくめできるかぎりの対応たいおうを進すすめていくとしています。

積水ハウスせきすいはうすはと話はなしています。

過去かこには裁判さいばんも

東京とうきょう 国立こくりつ市しでは20年ねん余あまり前まえ、市内しないに建設けんせつされた14階かい建だてのマンションをめぐって周辺しゅうへん住民じゅうみんが美うつくしい街まち並なみの景観けいかんが損そこなわれたと主張しゅちょうして不動産ふどうさん会社かいしゃを訴うったえた裁判さいばんがあります。

この裁判さいばんは2006年ねん、最高さいこう裁判所さいばんしょが「街まち並なみの景観けいかんは周辺しゅうへん住民じゅうみんにとって法律ほうりつ上じょう保護ほごに値あたいするものだが、マンションが当時とうじの法律ほうりつに違反いはんしていたとはいえない」と判断はんだんし、周辺しゅうへん住民じゅうみんの逆転ぎゃくてん敗訴はいそが確定かくてい。

街まち並なみの景観けいかんが周辺しゅうへんの住民じゅうみんにとって法律ほうりつ上じょう保護ほごに値あたいすると最高裁さいこうさいが初はじめて認みとめたものでしたが、裁判さいばんで建設けんせつの差し止さしとめなどを求もとめるには法律ほうりつ違反いはんや社会しゃかい的てきに認みとめられないような明確めいかくなルール違反いはんが必要ひつようだという判断はんだんを示しめしました。