三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうと証券しょうけん2社しゃの処分しょぶんを勧告かんこく 顧客こきゃく情報じょうほうを同意どうい得えずに共有きょうゆう

勧告かんこくの対象たいしょうは、「三菱みつびしUFJフィナンシャル・グループ」の三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうと、三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけん、それにモルガン・スタンレーMUFG証券しょうけんです。

顧客こきゃく企業きぎょうの利益りえきなどを守まもるため、法令ほうれいによって、同おなじグループの銀行ぎんこうと証券しょうけん会社かいしゃの間まの情報じょうほう共有きょうゆうを制限せいげんする「ファイアーウォール規制きせい」が設もうけられていますが、証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいによりますと、3社しゃは、令りょう和わ3年ねんから去年きょねんにかけて、顧客こきゃく企業きぎょうの同意どういを得えずに企業きぎょうの経営けいえい戦略せんりゃくに関かかわる非ひ公開こうかい情報じょうほうなどをあわせて13回かい共有きょうゆうしていたということです。

顧客こきゃく企業きぎょうから情報じょうほう共有きょうゆうを禁きんじられているのに、三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうの当時とうじの専務せんむ執行しっこう役員やくいんが三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんの当時とうじの副ふく社長しゃちょうに伝つたえていたケースや、銀行ぎんこうが証券しょうけん会社かいしゃに秘密ひみつ保持ほじ契約けいやくを結むすんでいる企業きぎょう買収ばいしゅうの情報じょうほうを伝つたえていたケースもあったということです。

このほか三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうでは、多数たすうの部署ぶしょで銀行ぎんこうには認みとめられていない有価ゆうか証券しょうけんの勧誘かんゆう行為こういが少すくなくとも28回かい確認かくにんされたほか、行員こういん1人にんが勤務きんむ時間じかん中ちゅうなどに配偶はいぐう者しゃの名義めいぎでおよそ5000回かいあわせて20億おく円えん分ぶんの有価ゆうか証券しょうけんの取引とりひきを行おこない、このうち4銘柄めいがらは職務しょくむ上じょう知しり得えた情報じょうほうに基もとづく不適切ふてきせつな売買ばいばいだったということです。

監視かんし委員いいん会かいは「経営けいえい管理かんり態勢たいせいに不備ふびがある」などと指摘してきし、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうなどに違反いはんするとして、3社しゃに行政ぎょうせい処分しょぶんを行おこなうよう金融きんゆう庁ちょうに勧告かんこくしました。

銀行ぎんこうと証券しょうけん会社かいしゃ「心こころよりおわび申し上もうしあげます」

三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうと三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんは「心こころよりおわび申し上もうしあげます。法令ほうれい順守じゅんしゅの意識いしきの浸透しんとうのほかモニタリング部署ぶしょにおける検知けんちやけん制けんせいの態勢たいせいが不十分ふじゅうぶんだった。実効じっこう性せいをより高たかめた具体ぐたい的てき方策ほうさくを盛り込もりこんだ再発さいはつ防止ぼうし策さくに取り組とりくみ、内部ないぶ管理かんり態勢たいせいのいっそうの充実じゅうじつ・強化きょうかを図はかってまいります」とコメントしています。

また、モルガン・スタンレーMUFG証券しょうけんは「この度たびの勧告かんこくを真摯しんし（しんし）に受け止うけとめ、内部ないぶ管理かんり態勢たいせいのいっそうの強化きょうかを図はかります。心こころよりおわび申し上もうしあげます」とコメントしています。

不適切ふてきせつな顧客こきゃく情報じょうほうの共有きょうゆう 幹部かんぶどうしが直接ちょくせつやりとりも

証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいによりますと、3社しゃは、令りょう和わ3年ねんから去年きょねんにかけて、9つの顧客こきゃく企業きぎょうの非ひ公開こうかい情報じょうほうあわせて10件けんをのべ13回かいにわたって不適切ふてきせつに共有きょうゆうしていました。

三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうは、顧客こきゃく企業きぎょうの非ひ公開こうかい情報じょうほう10件けんを三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんに提供ていきょうしていました。

三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんは、このうち3件けんをモルガン・スタンレーMUFG証券しょうけんに提供ていきょうしていたということです。

中なかには、銀行ぎんこうと証券しょうけん会社かいしゃの幹部かんぶどうしが直接ちょくせつ、不適切ふてきせつな情報じょうほうのやりとりをしていたケースもありました。

顧客こきゃく企業きぎょうから再三さいさん、株式かぶしきの売り出うりだしに関にかんする非ひ公開こうかい情報じょうほうを証券しょうけん会社かいしゃに提供ていきょうしないよう伝つたえられていたにもかかわらず、銀行ぎんこうの当時とうじの専務せんむ執行しっこう役員やくいんが、系列けいれつの証券しょうけん会社かいしゃを株式かぶしきの売り出うりだしの主しゅ幹事かんじにするため、売り出うりだしの時期じきや金額きんがく、それに方法ほうほうなどを、三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんの当時とうじの副ふく社長しゃちょうに伝つたえていました。

銀行ぎんこうの当時とうじの頭取とうどりは、不適切ふてきせつな情報じょうほう提供ていきょうが行おこなわれているおそれがあると認識にんしきしたものの、専務せんむ執行しっこう役員やくいんが、こうした情報じょうほう提供ていきょうを顧客こきゃく企業きぎょうが事実じじつ上じょう黙認もくにんしたと事実じじつでない報告ほうこくをしたことから、違法いほう行為こういはないと誤認ごにんしたと説明せつめいしているということです。

このため、それ以上いじょうの事実じじつ確認かくにんやコンプライアンス部署ぶしょへの連絡れんらくなど、組織そしきとしての適切てきせつな是正ぜせい措置そちは講こうじられませんでした。

また、別べつの顧客こきゃく企業きぎょうをめぐっては、秘密ひみつ保持ほじ契約けいやくを結むすんでいたのに、企業きぎょう買収ばいしゅう資金しきんの融資ゆうしを受うけるため銀行ぎんこうに伝つたえた非ひ公開こうかい情報じょうほうが、三菱みつびしUFJモルガン・スタンレー証券しょうけんに伝つたえられていました。

有価ゆうか証券しょうけんの勧誘かんゆう行為こういの違反いはん 一部いちぶは代表だいひょう取締役とりしまりやくに報告ほうこく

証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいは、三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうの28回かいにのぼる有価ゆうか証券しょうけんの勧誘かんゆう行為こういの違反いはんは、監視かんし委員いいん会かいの検査けんさで発覚はっかくするまで、多おおくの部署ぶしょで継続けいぞく的てきに行おこなわれていたと指摘してきしています。

このうち一部いちぶについては、当時とうじの代表だいひょう取締役とりしまりやくが営業えいぎょう部門ぶもんから、銀行ぎんこうが関与かんよして証券しょうけん会社かいしゃの案件あんけんを獲得かくとくしたと報告ほうこくを受うけていて、不適切ふてきせつな勧誘かんゆうを認識にんしきしている状況じょうきょうが認みとめられたということです。