日本新聞: 拉致被害者家族が集会首相「首脳会談の実現へ協議始めたい」

北朝鮮きたちょうせんに拉致らちされた被害ひがい者しゃの家族かぞくが東京とうきょうで大だい規模きぼな集会しゅうかいを開ひらき、肉親にくしんの帰国きこくを待まつ家族かぞくの高齢こうれい化かが進すすむ中なか、「残のこされた時間じかんはない」として、親おやの世代せだいが存命ぞんめいのうちにすべての被害ひがい者しゃの帰国きこくが実現じつげんするよう、政府せいふの取り組とりくみと北朝鮮きたちょうせんの決断けつだんを求もとめました。

集会しゅうかいに出席しゅっせきした岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、すべての被害ひがい者しゃの1日にちも早はやい帰国きこくに向むけ、日にち朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんを早期そうきに実現じつげんさせるため、みずからが直轄ちょっかつするハイレベル協議きょうぎを始はじめたいという考かんがえを示しめしました。

横田よこた拓也たくやさん「親おや世代せだいが高齢こうれい化か残のこされている時間じかんはない」

集会しゅうかいでははじめに、被害ひがい者しゃの家族かぞく会かい代表だいひょうで、中学ちゅうがく1年生ねんせいの時ときに拉致らちされた横田よこためぐみさんの弟おとうと、拓也たくやさん（54）が今年ことしの会かいの活動かつどう方針ほうしんに「親おや世代せだいが存命ぞんめいのうちに被害ひがい者しゃ全員ぜんいんの帰国きこくが実現じつげんするなら、北朝鮮きたちょうせんへの人道じんどう支援しえんに反対はんたいしない」と初はじめて明記めいきしたことに触ふれ、「親おや世代せだいの高齢こうれい化かは厳きびしい現実げんじつ下かにあり残のこされている時間じかんはない。人道じんどう問題もんだいである拉致らち問題もんだいを核かくやミサイルの問題もんだいとは切り離きりはなして優先ゆうせん的てきに解決かいけつしてほしい」と求もとめました。

そして、キム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきが娘むすめとともに北朝鮮きたちょうせんメディアに登場とうじょうする機会きかいが増ふえていることに言及げんきゅうし、「キム総そう書記しょきにも親おやとして子こを愛あいする気持きもちがあることを私わたしたちは感じ取かんじとっています。同おなじ気持きもちを被害ひがい者しゃの親しん世代せだいが持もっていることを忘わすれないでほしい」と訴うったえました。

横田よこた早紀さき江こうさん「岸田きしだ首相しゅしょうとキム総そう書記しょきの1対たい1の話し合はなしあい願ねがう」

めぐみさんの母親ははおや、早紀さき江こうさん（87）は「長ながい闘たたかいの中なかで家族かぞくは高齢こうれいとなり、私わたし自身じしん、2か月かげつほど前まえに調子ちょうしを崩くずして入院にゅういんし治療ちりょうを受うけました。被害ひがい者しゃを親おやの元もとに連れ戻つれもどしたい一心いっしんできょうまで来きましたので、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとキム総そう書記しょきの1対たい1の話し合はなしあいができる日ひが早はやく来くることを願ねがっています」と話はなしました。

拉致らち問題もんだいは今年ことし、最初さいしょの事件じけんの発生はっせいから46年ねんが経過けいかしますが、全面ぜんめん解決かいけつへの展望てんぼうは開あけないままで、集会しゅうかいでは最後さいごに、親おやの世代せだいが存命ぞんめいのうちにすべての被害ひがい者しゃの帰国きこくが実現じつげんするよう、政府せいふの取り組とりくみと北朝鮮きたちょうせんの決断けつだんを求もとめる決議けつぎを採択さいたくしました。

岸田きしだ首相しゅしょう “条件付じょうけんづけずキム総そう書記しょきと直接ちょくせつ向き合むきあう決意けつい”と強調きょうちょう

集会しゅうかいに出席しゅっせきした岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは「2002年ねん以来いらい、1人にんの拉致らち被害ひがい者しゃの帰国きこくも実現じつげんしていないことは痛恨つうこんの極きわみだ。被害ひがい者しゃもご家族かぞくも高齢こうれいとなる中なか、時間じかん的てき制約せいやくのある拉致らち問題もんだいは、ひと時ひとときもゆるがせにできない人権じんけん問題もんだいだ。すべての被害ひがい者しゃの1日にちも早はやい帰国きこくを実現じつげんすべく、全力ぜんりょくで果断かだんに取り組とりくんでいく」と述のべました。

またG7広島ひろしまサミットで、各国かっこく首脳しゅのうに即時そくじ解決かいけつに向むけた理解りかいと協力きょうりょくを求もとめ、全面ぜんめん的てきな支持しじを得えたと説明せつめいしたうえで、国際こくさい社会しゃかいへの働き掛はたらきかけと同時どうじに、日本にっぽんが主体しゅたい的てきに行動こうどうすることが重要じゅうようで、条件じょうけんを付つけずにいつでもキム・ジョンウン総そう書記しょきと直接ちょくせつ向き合むきあう決意けついだと強調きょうちょうしました。

そして「現在げんざいの状況じょうきょうが長引ながびけば長引ながびくほど、日にち朝間あさまの実みのりある関係かんけいを樹立じゅりつすることは、困難こんなんになってしまいかねない。日にち朝間あさまの懸案けんあんを解決かいけつし、共ともに新あたらしい時代じだいを切り開きりひらいていく観点かんてんから私わたしの決意けついをあらゆる機会きかいを逃のがさず伝つたえ続つづけるとともに、首脳しゅのう会談かいだんを早期そうきに実現じつげんすべく、私わたし直轄ちょっかつのハイレベルで協議きょうぎを行おこなっていきたい」と述のべました。

【家族かぞく会かい踏み込ふみこんだ方針ほうしんと強つよまる切迫せっぱく感かん】

今年ことしの活動かつどう方針ほうしんに「帰国きこく実現じつげんなら人道じんどう支援しえんに反対はんたいせず」明記めいき

拉致らち被害ひがい者しゃの家族かぞく会かいは今年ことし、新あたらしい活動かつどう方針ほうしんに「親おや世代せだいが存命ぞんめいのうちに被害ひがい者しゃ全員ぜんいんの帰国きこくが実現じつげんするなら、政府せいふが北朝鮮きたちょうせんに人道じんどう支援しえんを行おこなうことに反対はんたいしない」と明記めいき。

拉致らちの被害ひがいに苦くるしめられてきた家族かぞく会かいが、条件じょうけん付つきとは言いえ北朝鮮きたちょうせんへの“支援しえん”に踏み込ふみこんだのは、結成けっせいから26年ねんが経過けいかした会かいの歴史れきしで初はじめてのことです。

拉致らち・核かく・ミサイルの懸案けんあんを抱かかえる北朝鮮きたちょうせんに対にたいし、日本にっぽん政府せいふは、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの決議けつぎに基もとづく制裁せいさいに加くわえ、独自どくじの制裁せいさいとして輸出入ゆしゅつにゅうの全面ぜんめん禁止きんし措置そちなどを実施じっししていますが、国際こくさい機関きかんを通をつうじて北朝鮮きたちょうせんに人道じんどう支援しえんを行おこなうことは「例外れいがい扱あつかい」とされています。

今回こんかい、家族かぞく会かいが踏み込ふみこんだ背景はいけいには、被害ひがい者しゃとの再会さいかいを果はたせないまま亡なくなるメンバーが相次あいつぎ、核かくやミサイルの問題もんだいの解決かいけつを待まつ時間じかん的てき猶予ゆうよがない中なか、人道じんどう支援しえんをカードに突破とっぱ口ぐちを開ひらきたい切実せつじつな思おもいがあります。

アメリカ政府せいふ高官こうかんらも異論いろん唱となえず

家族かぞくは今月こんげつ、4年ねんぶりにアメリカを訪問ほうもんし、政府せいふ高官こうかんらに方針ほうしんへの理解りかいを繰り返くりかえし求もとめました。

新あたらしい方針ほうしんは、核かくやミサイルの問題もんだいとは切り離きりはなして拉致らち問題もんだいの早期そうき解決かいけつを目指めざすことを意味いみするだけに、当初とうしょ、家族かぞくの間まにはアメリカ側がわの反応はんのうを不安ふあん視しする声こえもありましたが、異論いろんを唱となえる関係かんけい者しゃはいなかったということです。