欧米を
中心に
幼い子どもで
報告されている
原因不明の
急性肝炎について、
国内でも
子ども1
人が
死亡していたことが、
国立感染症研究所の
発表で
分かりました。
国内で
死者が
報告されるのは
初めてです。
原因不明の子どもの急性肝炎は、欧米を中心に去年4月からこれまでに1000例以上が報告され、肝臓の移植が必要になったケースや死亡したケースも報告されています。
国内でも、原因不明の肝炎で、子ども1人が死亡していたことが国立感染症研究所の発表でわかりました。
国内で死者が報告されるのは初めてです。
国立感染症研究所によりますと、ことし2月の時点で原因不明の子どもの急性肝炎は156例報告され、肝臓の移植が必要となったケースも3例あったということです。
また、患者の年齢は1歳4か月から9歳2か月、中央値では4歳6か月だったということで、症状は発熱のほか、腹痛や下痢、おう吐といった消化器の症状が多くみられたということです。
子どもの肝臓病の専門医などで作る日本小児肝臓研究会によりますと、原因が分からない子どもの重症急性肝炎は、これまでにも年間10例程度あったということで、今回報告されている原因不明の肝炎についての調査チームを立ち上げて、詳しい症状や原因を調べているということです。
海外の研究では、患者の多くから下痢やおう吐などを引き起こす「アデノウイルス」に関連した別のウイルスが検出されたとして、このウイルスが原因と関わっている可能性も指摘されています。
「アデノ随伴ウイルス」が影響か
原因不明の
急性肝炎について、イギリス
などの3つの
研究グループが
先月30
日、
科学雑誌の「ネイチャー」で
それぞれ論文を
発表しました。
いずれの論文でも、患者の多くから下痢やおう吐を引き起こす「アデノウイルス」と関連のある「アデノ随伴ウイルス」が検出されたとしていて、▽イギリスのグループは肝炎になった子ども32人のうち26人、▽アメリカのグループは14人のうち13人から検出されたということです。
また、▽イギリスの別のグループは、28人中27人でアデノ随伴ウイルスを検出し、このウイルスが体の中で増えるのを助けるとされる別のウイルスも、検出したとしています。
いずれの研究グループも、健康な子どもや、肝炎とは関係のない病気の子どもも同時に調べていますが、これらの子どもからはアデノ随伴ウイルスはほとんど検出されなかったということです。
本来、アデノ随伴ウイルスは、重い病気を引き起こすことはないとされていますが、3つのグループのうち、アメリカ・カリフォルニア大学などのグループは「複数のウイルスに同時に感染することが、原因不明の肝炎に影響している可能性がある」と指摘しています。
一方、新型コロナとの関係について、イギリス・グラスゴー大学などのグループは、調査した地域で新型コロナに感染していた急性肝炎の子どもの割合は地域全体での子どもの感染割合よりも低く、新型コロナと急性肝炎の間に直接的な関連はないとみられると述べています。