皇居こうきょ 宮殿きゅうでんで「饗宴きょうえんの儀ぎ」

「即位そくい礼れい正殿せいでん（そくいれいせいでん）の儀ぎ」のあと、いったんお住すまいの赤坂あかさか御所ごしょに戻もどっていた天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかは「饗宴きょうえんの儀ぎ」に臨のぞむため、午後ごご７なな時じ前まえに再ふたたびお住すまいを出でて、半蔵門はんぞうもんから皇居こうきょに入はいられました。

天皇てんのう陛下へいかはえんび服ふくを着用ちゃくようし、「大だい勲くん位い菊花きっか章あきら頸飾かざり（だいくんいきっかしょうけいしょく）」という最高さいこう位いの勲章くんしょうなどを身みにつけられています。

また皇后こうごうさまはローブデコルテというロングドレスを着用ちゃくようし、上うえ皇后こうごうさまから受け継うけついだティアラや勲章くんしょうを身みにつけられています。

そして午後ごご７なな時じ20分ふんすぎ、宮殿きゅうでんの「竹たけの間ま」に入はいられ、「饗宴きょうえんの儀ぎ」が始はじまりました。

「饗宴きょうえんの儀ぎ」は、国事こくじ行為こういとして行おこなわれる「即位そくいの礼れい」の儀式ぎしきの１ひとつで、合あわせて４よん回かい行おこなわれることになっています。

１いち回かい目めの22日にちは「即位そくい礼れい正殿せいでんの儀ぎ」に参列さんれつした180か国かこく余あまりの元首げんしゅや王族おうぞくなど、およそ400人にんが招待しょうたいされました。

「竹たけの間ま」では、両りょう陛下へいかがおよそ１いち時間じかんにわたって出席しゅっせき者しゃから順番じゅんばんにあいさつを受うけられました。

あいさつを終おえた出席しゅっせき者しゃは「春秋しゅんじゅう（しゅんじゅう）の間ま」に移動いどうし、食前しょくぜんの飲み物のみものを手てに秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいなど皇族こうぞく方かたと和なごやかな雰囲気ふんいきで歓談かんだんを行おこないました。

ここでは上皇じょうこうさまの即位そくいを祝いわう前回ぜんかいの「饗宴きょうえんの儀ぎ」でも演えんじられた「太平楽たいへいらく（たいへいらく）」という「舞楽ぶがく（ぶがく）」の演目えんもくが宮内庁くないちょう「楽らく部ぶ（がくぶ）」の職員しょくいんによって披露ひろうされました。

また「即位そくい礼れい正殿せいでんの儀ぎ」が行おこなわれた「松まつの間ま」では儀式ぎしきで使つかわれた「高御座たかみくら（たかみくら）」と「御ご帳とばり台だい（みちょうだい）」を出席しゅっせき者しゃたちが見学けんがくする機会きかいも設もうけられました。出席しゅっせき者しゃたちは説明せつめい役やくの外務省がいむしょうの職員しょくいんの話はなしに耳みみを傾かたむけ、興味きょうみ深ふかそうにのぞき込のぞきこんだり、「高御座たかみくら」の前まえで記念きねん撮影さつえいしたりしていました。

このあと出席しゅっせき者しゃは皇族こうぞく方かたとともに食事しょくじ会場かいじょうの「豊明とよあき殿どの（ほうめいでん）」に移うつり、午後ごご９きゅう時じすぎ、両りょう陛下へいかが部屋へやの奥おくにあるメインテーブルの中央ちゅうおうに着席ちゃくせきされて食事しょくじが始はじまりました。

食事しょくじは上皇じょうこうさまの即位そくいを祝いわった前回ぜんかいをほぼ踏襲とうしゅうした和食わしょくで、まつたけやくりなど秋あきの味覚みかくも取り入とりいれた合あわせて９きゅう品ひんが出だされました。

食事しょくじのあとは「春秋しゅんじゅうの間ま」に場所ばしょを移うつし、食後しょくご酒しゅやコーヒーなどが出だされる中なか、和なごやかに歓談かんだんが行おこなわれました。

このあと両りょう陛下へいかは出席しゅっせき者しゃとの別わかれのあいさつを交かわされ、「饗宴きょうえんの儀ぎ」は午後ごご11時じ20分ふんごろ終了しゅうりょうしました。

両りょう陛下へいかは午後ごご11時じ44分ふんごろ、車くるまで皇居こうきょを出発しゅっぱつしてお住すまいの赤坂あかさか御所ごしょに戻もどり、22日にちの全すべての日程にっていを終おえられました。

各国かっこくの元首げんしゅや王族おうぞく 到着とうちゃくの様子ようす

「饗宴きょうえんの儀ぎ」が行おこなわれている皇居こうきょ 宮殿きゅうでんの南みなみ車寄くるまよせには午後ごご７なな時じ20分ふんごろから、えんび服ふくやロングドレス、それに色いろ鮮あざやかな民族みんぞく衣装いしょうなどに身みを包つつんだ各国かっこくの元首げんしゅや王族おうぞくらが相次あいついで到着とうちゃくしました。

このうち、イギリスのチャールズ皇太子こうたいしはえんび服ふくに勲章くんしょうを身みにつけていて車くるまを降おりたあとゆったりと歩あるいて宮殿きゅうでんに入はいっていきました。

スペインのフェリペ国王こくおうは、ピンク色ぴんくいろのロングドレスを着きてティアラを身みにつけたレティシア王妃おうひとともに報道陣ほうどうじんの前まえで笑顔えがおで立ち止たちどまったあと宮殿きゅうでんに入はいっていきました。

また、アメリカのチャオ運輸うんゆ長官ちょうかんは紫色むらさきいろのロングドレス姿すがたで、報道陣ほうどうじんの方ほうを向むいて笑顔えがおでうなずきながら宮殿きゅうでんに入はいっていきました。

「饗宴きょうえんの儀ぎ」の席順せきじゅんは

食事しょくじ会場かいじょうとなっている宮殿きゅうでんの「豊明とよあき殿どの」には、10のテーブルが配置はいちされ、およそ370の席せきが用意よういされます。

各国かっこくの元首げんしゅらが座すわるメインテーブルは一番いちばん奥おくに設もうけられ、中央ちゅうおうに天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかが並ならんで座すわられます。

メインテーブルは56席せきありますが、ほかのテーブルの出席しゅっせき者しゃからも両りょう陛下へいかの姿すがたが見みやすいようお二に人にんの正面しょうめんには座席ざせきを設もうけないことになっています。

外国がいこくからの賓客ひんきゃくの席順せきじゅんは、在位ざいい期間きかんや在任ざいにん期間きかんの長ながさなどを考慮こうりょして決きめられていて、天皇てんのう陛下へいかの右みぎ隣となりにはブルネイのボルキア国王こくおうが、皇后こうごうさまの左ひだり隣となりにはスウェーデンのグスタフ国王こくおうが座すわります。

ほかの９ここのつのテーブルには秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいをはじめとする皇族こうぞく方かたが、安倍あべ総理そうり大臣だいじんなど三権さんけんの長ちょうやその配偶はいぐう者しゃとともに座すわり、ホスト役やくとして外国がいこくからの出席しゅっせき者しゃをもてなされます。

食事しょくじメニューは前回ぜんかいをほぼ踏襲とうしゅう

22日にち夜よる行おこなわれた１いち回かい目めの「饗宴きょうえんの儀ぎ」の食事しょくじは上皇じょうこうさまの即位そくいを祝いわった前回ぜんかいをほぼ踏襲とうしゅうする形かたちで和食わしょくが選えらばれました。供きょうされるのは９きゅう品ひんです。

▽「前菜ぜんさい」はかすごたいの姿すがた焼やきや蒸むしたあわび、それにゆり根ねやくりなどが扇おうぎの形かたちをした木きの器うつわに盛もりつけられます。

▽「酢の物すのもの」はスモークサーモン、

▽「焼物やきもの」はアスパラガスの牛肉ぎゅうにく巻まき、

▽「温ゆたか物ぶつ」はふかひれやまいたけが入はいった茶ちゃわん蒸むし、

▽「揚物あげもの」はかに、きす、若わか鶏にわとりの三さん色しょく揚あげ

▽「加薬かやく飯めし」はたけのこやしいたけが入はいったたいのそぼろごはん、

▽「吸物すいもの」には伊勢いせえびのくず打うちやまつたけが入はいっています。

▽「果物くだもの」としてイチゴやマスクメロン、パパイヤ、

▽「菓子かし」として和菓子わがしも出だされます。

世界せかい各国かっこくからさまざまな文化ぶんか的てきな背景はいけいを持もつ賓客ひんきゃくが訪おとずれることに配慮はいりょして、このほかにイスラム教徒きょうと向むけに戒律かいりつに沿そって処理しょりされた食材しょくざいを使つかったメニューや、菜食さいしょく主義しゅぎの人ひと向むけに肉にくや魚さかなに代かえて高野たかの豆腐とうふや湯葉ゆばなどを使つかったメニューが用意よういされています。

担当たんとうしたホテル「日本にっぽん料理りょうりの伝統でんとうを感かんじてほしい」

「饗宴きょうえんの儀ぎ」で供きょうされる食事しょくじの調理ちょうりを担当たんとうした大手おおてホテルグループでは、何なん度ども試作しさくを重かさねてきたということです。

日本にっぽん料理りょうりの伝統でんとうや盛もりつけの美うつくしさを楽たのしんでもらえるよう、食材しょくざいの大おおきさをミリ単位たんいでそろえるなどの工夫くふうが凝こらされているということです。

ホテルの高橋たかはし慶太けいた総そう料理りょうり長ちょうは「このような歴史れきし的てきな瞬間しゅんかんに関かかわれたことは本当ほんとうに名誉めいよなことだと思おもっています。さまざまな方ほうに満足まんぞくいただけるよう味付あじつけに創意そうい工夫くふうを重かさねたほか、ひと目ひとめ見みてお祝おいわいの料理りょうりだとわかる色いろ鮮あざやかな盛もりつけになっています。世界せかい各国かっこくの賓客ひんきゃくに日本にっぽん料理りょうりの伝統でんとうを感かんじていただきたい」と話はなしていました。

記念きねん品ひんは「ボンボニエール」

１いち回かい目めの「饗宴きょうえんの儀ぎ」に出席しゅっせきする外国がいこくの元首げんしゅや王族おうぞくなどには天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかから記念きねん品ひんとして純銀じゅんぎん製せいの「ボンボニエール」が贈おくられます。

「ボンボニエール」は、金平糖こんぺいとうなどの菓子かしを入いれるふた付つきの容器ようきで、皇室こうしつでは明治めいじ時代じだい以降いこう、皇族こうぞくの結婚けっこん式しきといった慶事けいじの祝宴しゅくえんなどの出席しゅっせき者しゃに贈おくる習ならわしがあります。

上皇じょうこうさまの即位そくいを祝いわう前回ぜんかいの「饗宴きょうえんの儀ぎ」でもボンボニエールが贈おくられました。

宮内庁くないちょうによりますと、今回こんかいの「ボンボニエール」は丸まるみを帯おびた形かたちで、直径ちょっけい６ろくセンチで高たかさは３さんセンチ余あまり。表面ひょうめんには前回ぜんかいと同おなじように菊きくの御ご紋もんと「鳳凰ほうおう（ほうおう）」の模様もようがあしらわれています。中なかには色いろとりどりの金平糖こんぺいとうが入はいっているということです。

前回ぜんかいのものと対たいになるようなデザインに

「ボンボニエール」の製作せいさくを担当たんとうした東京とうきょう 銀座ぎんざの会社かいしゃでは宮内庁くないちょうから示しめされたデザインの案あんをもとに何なん度どもやりとりをして最終さいしゅう的てきなデザインを決きめたということです。

表面ひょうめんには前回ぜんかいの「即位そくいの礼れい」で作つくられたものと同おなじく鳳凰ほうおう（ほうおう）の模様もようがあしらわれていますが、前回ぜんかいと今回こんかいの２ふたつのボンボニエールを並ならべると対たいになるようにデザインされているということです。

製作せいさくにあたっては模様もようを型かた押おしする際さいに裏面りめんにできた凹凸おうとつを１ひとつ１ひとつ手しゅ作業さぎょうで削けずったり、わずかでも傷きずが付ついたものははじいたりと細こまかな点てんにも気きを配くばったということです。

製作せいさくを担当たんとうした宮本みやもと商しょう行くだりの上野うえの浩司こうじさんは「歴史れきし的てきな仕事しごとをさせていただきました。ボンボニエールは小ちいさな芸術げいじゅつ品ひんです。箱はこをあけた時ときに日本にっぽんの技術ぎじゅつ力りょくを感かんじて頂いただきたい」と話はなしていました。