イランの国営メディアは1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物が、イスラエルによるミサイル攻撃で破壊され、軍事精鋭部隊の革命防衛隊で国外の特殊任務にあたる「コッズ部隊」の司令官の1人と副官を含む7人が殺害されたと伝えました。
イラン外務省のキャンアニ報道官は声明を出し、大使館の保護などを定めたウィーン条約に違反する行動で「最も強い言葉で非難されるべきだ」として、国際社会や国連による緊急の対応を求めたうえで、「イランには対抗措置を取る権利がある」として、何らかの報復を行う考えを示しました。
一方、イスラエル軍の報道官は1日、「外国メディアで伝えられる個別の攻撃には言及しない。戦争の目的を達成するため、対応を続ける」とコメントし、関与を認めていません。
シリア国内では去年12月からイスラエルによるとみられる攻撃でイランの革命防衛隊の隊員が相次いで殺害されていますが、在外公館が攻撃を受けるのは初めてです。
ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、イスラエルとハマスを支援するイランとの対立も深まっていて、今回の攻撃を受け中東の混乱がいっそう拡大することが懸念されます。
国連イラン代表部 安保理の緊急会合の開催要請
国連イラン代表部は1日、国連のグテーレス事務総長と今月の安全保障理事会の議長国マルタの国連大使に対して書簡を送り、「イスラエルのテロ攻撃は国連憲章と国際法に対する明白な違反だ」などと非難し、対応を協議する安保理の緊急会合の開催を求めたことを、SNSを通じて明らかにしました。
イスラエル軍の報道官「個別の攻撃 言及しない」
これについてイスラエル軍の報道官は1日、「外国メディアで伝えられる個別の攻撃については言及しない。戦争の目的を達成するため、対応を続ける」とコメントしています。
米ホワイトハウス報道官「調査中」
アメリカ・ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、1日の記者会見で「報道は把握しているし、われわれのチームも調査中だ。ただ、現時点では、それ以上、言うことはない」と述べるにとどめました。
また国務省のミラー報道官も記者会見で「地域のパートナー国と連絡をとり、情報を収集しているが、攻撃の標的や誰に責任があるかなどまだ把握できていない。戦闘の拡大のおそれは常に懸念していることだ」と述べました。