Báo tiếng Nhật: 福井再審で前川彰司さんに無罪判決今後検察が上告するか焦点

39年さんじゅうきゅうねん前まえ、福井ふくい市しで女子じょし中学生ちゅうがくせいが殺害さつがいされた事件じけんの再審さいしん＝やり直なおしの裁判さいばんで18日じゅうはちにち、前川まえかわ彰あきら司つかささんに無罪むざい判決はんけつが言いい渡わたされました。判決はんけつは関係かんけい者しゃの証言しょうげんを誘導ゆうどうしたなどと捜査そうさ機関きかんを厳きびしく批判ひはんしていて、今後こんご、検察けんさつが上告じょうこくするかどうかが焦点しょうてんとなります。

39年さんじゅうきゅうねん前まえの1986年せんきゅうひゃくはちじゅうろくねんに福井ふくい市しで中学ちゅうがく3年さんねんの女子じょし生徒せいとが殺害さつがいされた事件じけんの再審さいしんで、18日じゅうはちにち、名古屋なごや高等こうとう裁判所さいばんしょ金沢かなざわ支部しぶは前川まえかわ彰あきら司つかささんに無罪むざいを言いい渡わたしました。

判決はんけつは、有罪ゆうざいの決きめ手てとされてきた知人ちじんらの目撃もくげき証言しょうげんについて、「捜査そうさに行いき詰づまった捜査そうさ機関きかんが誘導ゆうどうなどの不当ふとうな働はたらきかけを行おこない、関係かんけい者しゃがそれに迎合げいごうした証言しょうげんをした結果けっか、形成けいせいされた疑うたがいが払拭ふっしょくできず、いずれも信用しんようできない」などと指摘してきしたうえで、「検察けんさつと警察けいさつの不正ふせい・不当ふとうな活動かつどうは刑事けいじ司法しほう全体ぜんたいに対たいする信頼しんらいを揺ゆるがしかねない深刻しんこくなものだ」と厳きびしく批判ひはんしました。

事件じけん発生はっせいから40年よんじゅうねん近ちかくがたち、逮捕たいほ当時とうじ21歳にじゅういっさいだった前川まえかわさんは60歳ろくじゅっさいとなっていて、弁護べんご団だんは審理しんりをこれ以上いじょう長引ながびかせるべきではないとして、検察けんさつに対たいして最高さいこう裁判所さいばんしょへの上告じょうこくを断念だんねんするよう申もうし入いれました。

名古屋なごや高等こうとう検察庁けんさつちょうは取材しゅざいに対たいし、「判決はんけつ内容ないようを精査せいさし上級じょうきゅう庁ちょうとも協議きょうぎのうえ、対応たいおうを検討けんとうしたい」としています。

上告じょうこくの期限きげんは8月はちがつ1日ついたちで、今後こんご、検察けんさつが上告じょうこくするか、上告じょうこくせずに前川まえかわさんの無罪むざいが確定かくていするかが焦点しょうてんとなります。

判決はんけつは検察けんさつと警察けいさつの対応たいおうを厳きびしく批判ひはん

名古屋なごや高裁こうさい金沢かなざわ支部しぶの判決はんけつは、検察けんさつと警察けいさつの捜査そうさや裁判さいばんでの対応たいおうを厳きびしく批判ひはんしました。

目撃もくげき証言しょうげんを誘導ゆうどうしたと認定にんてい

もとの裁判さいばんでは「テレビで音楽おんがく番組ばんぐみを見みている時ときに呼よび出だされ、前川まえかわさんを迎むかえに行いった。

胸むねのあたりに血ちが付ついた前川まえかわさんを見みた」という前川まえかわさんの知人ちじんの目撃もくげき証言しょうげんが有罪ゆうざいの根拠こんきょの一ひとつとされました。

これについて判決はんけつでは、おととし検察けんさつが開示かいじした警察けいさつの捜査そうさ報告ほうこく書しょによって、この知人ちじんが「事件じけん当日とうじつに見みた」と話はなしていた音楽おんがく番組ばんぐみの印象いんしょう的てきなシーンが、実際じっさいには事件じけん当日とうじつに放送ほうそうされていなかったことが明あきらかになったとして、「警察けいさつが誤あやまった放送ほうそう日時にちじや内容ないようをもとに知人ちじんを誘導ゆうどうして、事件じけん当日とうじつに音楽おんがく番組ばんぐみを見みたという証言しょうげんを得えたことが認みとめられる。

警察官けいさつかんの誘導ゆうどうにより、ありもしない体験たいけんについての証言しょうげんが作つくり出だされていることが明あきらかになった」と指摘してきしました。

さらに、この知人ちじんが裁判さいばんで証言しょうげんしたあと、警察官けいさつかんが結婚けっこん祝いわいとして現金げんきんを渡わたしたことについて、「捜査そうさ段階だんかいの調書ちょうしょどおりに証言しょうげんするよう働はたらきかけ、知人ちじんがこれに応おうじて裁判さいばんで証言しょうげんしたことへの謝礼しゃれい的てきな意味合いみあいが込こめられていたとみなされてもしかたがない。

警察官けいさつかんの職務しょくむに対たいする国民こくみんの信頼しんらいを裏切うらぎる不当ふとうな行為こういだ」と批判ひはんしました。

誘導ゆうどうの動機どうきは「捜査そうさの行いき詰づまり」

判決はんけつではこうした誘導ゆうどうの動機どうきについて、「警察けいさつや検察けんさつは、捜査そうさや裁判さいばんでの立証りっしょうに行いき詰づまりを感かんじ、前川まえかわさんを有罪ゆうざいに持もち込こみたいという思惑おもわくを強つよく持もっていたことから、誘導ゆうどうの意図いとも相当そうとう強つよかったと推認すいにんできる」と述のべました。

そのうえで、「検察けんさつは再審さいしんで警察けいさつが関係かんけい者しゃの証言しょうげんを誘導ゆうどうしたというのは『荒唐こうとう無稽むけい』だと主張しゅちょうしているが、証拠しょうこ関係かんけい全体ぜんたいを見みると、検察けんさつが『荒唐こうとう無稽むけい』と評価ひょうかするような捜査そうさが現実げんじつに行おこなわれた疑うたがいが浮うかび上あがる」と指摘してきしました。

検察けんさつ・警察けいさつの不正ふせい「刑事けいじ司法しほうの信頼しんらい揺ゆるがす」

さらに判決はんけつでは、検察けんさつがもとの裁判さいばんで音楽おんがく番組ばんぐみの放送ほうそう日時にちじや内容ないようについての重大じゅうだい誤あやまりを明あきらかにしなかったことについて、「再審さいしんでもこの点てんについて何なんら納得なっとくできる主張しゅちょうがされていないこともあわせると、知しらなかったと言いい逃のがれができるような話はなしではなく、不ふ利益りえきな事実じじつを隠かくそうとする不ふ公正こうせいな意図いとがあったと言いわれてもしかたがない。

この誤あやまりを適切てきせつに是正ぜせいしていれば、再審さいしん請求せいきゅうの前まえにもとの裁判さいばんで無罪むざい判決はんけつが確定かくていした可能かのう性せいも十分じゅうぶんに考かんがえられる。

検察けんさつの訴訟そしょう活動かつどうに対たいしては、公益こうえきの代表だいひょう者しゃとしての職責しょくせきに照てらし、率直そっちょくに言いって失望しつぼうを禁きんじえない」と厳きびしく批判ひはんしました。

そして最後さいごに、「検察けんさつと警察けいさつの不正ふせい・不当ふとうな活動かつどうは刑事けいじ司法しほう全体ぜんたいに対たいする信頼しんらいを揺ゆるがしかねない深刻しんこくなものだ。

再審さいしんでの検察けんさつの主張しゅちょうは、これらの不正ふせいな行為こういから目めを背そむけた主張しゅちょうというほかなく、到底とうてい採用さいようできない」と述のべました。

再審さいしん制度せいど見直みなおしの議論ぎろん進すすむ

再審さいしんの手続てつづきをめぐっては、審理しんりに長ながい時間じかんがかかり、えん罪ざい被害ひがい者しゃの救済きゅうさいを妨さまたげているとして見直みなおしを求もとめる声こえがあがり、現在げんざい、法制ほうせい審議しんぎ会かいで法ほう改正かいせいの議論ぎろんが進すすめられています。

長期ちょうき化かを招まねいている要因よういんの1いちつとして、検察けんさつが裁判さいばんに提出ていしゅつしていない証拠しょうこの開示かいじについてのルールが定さだめられていないことが指摘してきされています。

前川まえかわさんのケースで、再審さいしんを認みとめる決きめ手てとなった捜査そうさ報告ほうこく書しょは、2004年にせんよねん以降いこうの1回いっかい目めの再審さいしん請求せいきゅうの審理しんりでは開示かいじされず、2022年にせんにじゅうにねん以降いこうの2回にかい目めの再審さいしん請求せいきゅうの審理しんりで、裁判所さいばんしょから促うながされる形かたちでおととし、ようやく開示かいじされました。

再審さいしんで無罪むざいが確定かくていした袴田はかまだ巌いわおさんのケースでも、最初さいしょに再審さいしんを申もうし立たててから重要じゅうような証拠しょうこが開示かいじされるまでにおよそ30年さんじゅうねんかかっていて、結果けっかとして、えん罪ざいを晴はらすまでに半はん世紀せいきあまりの歳月さいげつを要ようしました。

こうした状況じょうきょうを受うけて、法務省ほうむしょうは法ほう改正かいせいの検討けんとうを法制ほうせい審議しんぎ会かいに諮問しもんし、ことし4月しがつから専門せんもんの部会ぶかいで専門せんもん家かや裁判官さいばんかん、法務ほうむ・検察けんさつ、弁護士べんごしの委員いいんなどによる議論ぎろんが始はじまりました。